第四・北越統合で失礼ながら気になる”大光の立ち位置”
2017年06月27日
2018年4月をめどに共同持ち株会社設立によって経営統合する第四銀行(新潟市中央区)と北越銀行(長岡市)。経営統合に続いて合併も視野に入れており、実現すれば県内金融業界は“1強時代”に突入する。そうなると嫌でも気になるのが“差のある2番手”の位置を余儀なくされる大光銀行の立ち回り方だ。大光にとってこの難局はまさに正念場といえよう。
北越と大光では統合の意味なし
ある経済人がいう。
「第四と北越の経営統合計画が表面化した当初、多くの県民が意外な組み合わせとの感想を抱いたようですが、よくよく考えると第四にとって統合相手は北越しかいなかったし、反対に北越によっても統合相手は第四しかいなかったのです。
というのも第四が仮に3番手の大光と統合したとしても労力の割にはそれほどの規模の拡大は見込めないし、あるいは北越が大光と統合したとしても規模的に第四を抜くまでには至らず、かえって競争が激化してしまうわけですよ」(新潟市の会社社長)
2017年3月期決算における3行の総資産額は以下のとおりだ。
第四銀行…5兆6,737億円
北越銀行…2兆7,291億円
大光銀行…1兆4,474億円
第四と北越が経営統合すれば総資産額は8兆4,028億円に拡大し、大光を大きく引き離す。文字どおり“1強時代”の幕開けだ。
そうではなく仮に第四が統合相手を大光にしていたらどうなったか? 単純計算で総資産額は7兆1,211億円に拡大するが、いかにもインパクトに欠ける。
あるいは北越が大光と統合するとどうか? 総資産額は4兆1,765億円に拡大するが、第四を抜くまでには至らない。それどころか規模の差がぐっと縮まるため第四が銀行を挙げてシェア拡大に力を注ぐこととなり、結果的に銀行間の競争が今よりも激しくなる可能性がある。
経営統合に向けて協議に入った第四と北越は表向き「地域経済の発展が目的」などとお利口さんのコメントをしているが、マイナス金利政策を背景に金利面などでこれ以上の競争激化は避けたいからこそ統合・合併に向けて舵を切ったのが本当のところで、要は独り勝ちとなるような統合・合併でなければ意味がないというわけだ。
加えて在京マスコミ関係者は「規模の問題だけでなく、第四や北越が大光を統合相手に選ばなかったのはほかにも理由があります」と前置きして続ける。
「第四と北越は地方銀行で、大光は第二地方銀行であり、創業から今日に至るまでの歩みがまったく異なります。地銀は昔から株式会社の形態をとって営業してきた銀行なのに対し、第二地銀はもともと相互銀行で、多くの相互銀行はかつて無尽会社として営業していました。無尽とは消費者金融や商工ローンのように通常よりもリスクがやや大きな貸し付け形態です。
こうしたことから第二地銀は地銀に比べて規模が小さく、ひいては融資先の事業規模も小さいという特徴があります。したがって地銀の第四や北越が第二地銀の大光と一緒になるメリット
はそれほど大きくはないといえます」 (金融担当記者)
金融庁が長崎で異例の説明会
第四と北越の経営統合実現に向けて立ちはだかる最大のハードルが公正取引委員会の審査クリアだ。
長崎県では首位の十八銀行(長崎市)と2位の親和銀行を傘下に持つ「ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市、FFG)」との統合計画があるが、統合すると貸し出しシェアが約7割に上ることから、独占禁止法に基づく公取委の審査が長引き、当初は今年4月としていた統合時期を10月に延期した。
第四と北越の経営統合による貸し出しシェアは十八銀行とFFGの7割にはおよばないものの5割とやはり高く、公取委からすんなりとお墨付きをもらえるとはかぎらない。…続きは本誌に