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2024年11月21日

M&A事例報告 金券ショップを事業譲渡し2年足らずで年商50%UP

2017年05月27日

金券ショップの主力商品は新幹線回数券

 

今回のM&A(企業の合併・買収)の対象企業は金券ショップを運営する株式会社中島チケットサービス(仮名)。社長の中島敏則氏(同・69)は長年にわたって黒字経営を続けてきたが、70歳になるのを機に第三者に事業譲渡することを決断し、M&Aの仲介業務を手掛けるサクセションビジネス(東京都千代田区)に相談を持ち掛けたのだった。

 

金券ショップを利用したことのある読者は多いに違いない。たとえばビジネスパーソンが新潟から東京へ出張する際、通常はJRの窓口や自動券売機で新幹線の切符を購入するが、これがプライベートとなると少しでも安く切符を手に入れようと考え、金券ショップを利用する人も少なくないだろう。

 

新潟─東京間の新幹線切符は自由席で1万50円だが、ある金券ショップでは同区間の新幹線回数券が9660円で売られている。同じ切符であるにもかかわらず400円近くも安いのだから、金券ショップを利用しない手はない。

 

サクセッションビジネスの豊田洋一社長のもとに相談に訪れた中島チケットサービスの中島社長は以下のように話す。

 

「金券ショップで最も売れるのは新幹線回数券です。私の店は東京都〇〇区の××駅の近くにありますが、新幹線回数券は1日に平均100枚くらい売れます。うちの店など少ないほうで、主要ターミナルからほど近い場所に立地する店舗では1日に300~400枚もさばく店が少なくありません」(中島社長)

 

新潟県民には馴染みがないかもしれないが、東京や大阪などの大都市では店頭に新幹線回数券の自動券売機を設置している金券ショップを数多く目にする。それだけたくさん売れるという証拠だ。

 

中島社長が付け加える。

「とはいえ私たちの金券ショップは利幅が非常に小さく、文字どおり薄利多売の商売です。利幅は概ね2、3%といったところで、販売価格1万円の金券が売れても儲けは200円、300円の世界ですからね。

 

したがってこの商売はいかに大量に仕入れて、いかに大量に売りさばくかが成功のカギといえます」 (同)

 

中島社長の店では従業員1人を雇用。中島社長本人も交代で店番をするなどして営業しているという。人件費を極力かけないための努力にほかならない。

 

豊田社長が「年商や利益はどれくらいですか?」と尋ねると、中島社長は以下のように答えた。

 

「売り上げは年間1億5千万円ほどです。机ひとつ置ける程度の小さな店にしては大きな売り上げと思うかもしれませんが、先ほど申し上げたとおり薄利多売ですからね。家賃や人件費を差し引いた純利益は年間200万円ほどです」(同)

 

中島社長の金券ショップの運営主体は株式会社中島チケットサービスであり、同社長は会社から相応の役員報酬を得ている。その上で会社が年間200万円の利益を計上しているのだから、経営実態は順風満帆といっていいだろう。日本の企業の8割が赤字であることを踏まえると、純利益200万円とはいえ優良企業にほかならない。

 

にもかかわらず、なぜ中島社長は事業譲渡を考えるに至ったのか?…続きは本誌に

 

 

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