「一抜け方式」工事入札を採用した新潟市ゼネコンの忖度
2017年04月27日
「市内本店の大手業者に手厚い」。ここ最近、新潟市の姿勢は露骨だという。例えばWTO(政府調達)対象の超大型案件でも、ほかの工種と比べ規模が小さい舗装工事でも、こうした〝偏重〟に対する批判が噴出している。新年度に始まった大型工事での「一抜け方式」も、同様の批判にさらされている。
日常の中に異常が
前年度になるが、今年2月に行われた入札結果を見ていただきたい。発注者は県の出先である新潟地域振興局。国の出先機関などが集中する新潟市中央区美咲町で実施された舗装工事の業者選定だ。
入札方式は資格さえあれば誰でも参加できる一般競争入札ではなく、指名競争入札だった。発注側が事前に参加者を指名して行われるタイプだ。この入札では応札額だけではなく、過去の実績や技術力などを加味して落札者を決定する総合評価方式が採用された。
結果は1千013万円(税抜き)で吉田建設(新潟市西蒲区)が落札した。この案件の契約結果によれば、契約額の上限である予定価格は1千113万円。この額を下回ると、「適切な工事が難しい」と判断される最低制限価格は1千013万円(いずれも「市内本店の大手業者に手厚い」。ここ最近、新潟市の姿勢は露骨だという。例えばWTO(政府調達)対象の超大型案件でも、ほかの工種と比べ規模が小さい舗装工事でも、こうした〝偏重〟に対する批判が噴出している。新年度に始まった大型工事での「一抜け方式」も、同様の批判にさらされている。税抜き)だった。
吉田建設は契約可能な金額の下限である最低制限価格で落札した。このほか2者、アルファ建設(新潟市江南区)と本間道路(新潟市中央区)は同じ額を入れながら
落札することができなかった。この入札は総合評価方式だったため、金額以外の項目で前者が後の2者を上回っていたからだ。
この入札結果について、公共工事の入札結果などを見慣れた人は特に違和感を持たないかもしれない。舗装工事の場合、工事の内容がシンプルだということもあって、入札参加者の応札額がことごとく同じというケースがざらだ。
しかも最低制限価格と同額のフダ(フダは入札書、あるいは応札額といった意味)がズラっと並ぶことも珍しくない。例えば新潟市の入札では、舗装工事の99%がくじで落札者を決める状況になっている。同額のフダ、しかも多くは最低制限価格と同額での応札が並ぶことから、くじ引きになる。
この一見「日常的」と思える入札結果に、実は〝異常〟が隠されていた。
「新潟市の入札を象徴するような内容です」(新潟市内に本社を置く土木工事主体の建設業者)
それはなぜなのか?…続きは本誌に