庁舎設備総合管理入札の滑稽な中身
2017年04月27日
一連の「森友学園」をめぐる問題で注目された〝忖度〟。「人の心を推し量る」というのが本来の意味だとか。今は、「役人が権力者の意向を忖度する」みたいに、否定的なニュアンスで使われている。こうした忖度は権力者のためにするように見せて、実は自身の利益のためだったりする。そんな「おためごかしの忖度」なら、新潟にだって掃いて捨てるほどある。
珍しい入札結果がある。
3年連続して、ほぼ同じ2者が同じような額のフダを入れている。そして3年連続で落札しているのは、ほぼ似たようなメンバーで構成する企業体だ。2年連続なら偶然ということもあろう。このアリバイづくりのような入札だが、さすがに3年続くと、「何かあるのでは」と勘繰りたくもなる。
奇っ怪入札、初公開
今どき工事や設計などの入札は、ほとんどインターネットを通して行われる。その結果もネット上で公開されている。写真の入札は紙で行われたもので、その結果は県庁16階にある入札室に張り出され、公開された。
余談だが、昔は工事などの入札も紙で行われた。建設業の営業マンは、役所に張り出されるこうした入札結果を克明に手帳やノートに書き込んで帰ったものだ。その後、コンパクトタイプのデジカメが普及すると、営業マンは張り出されたり、バインダーにとじてある入札結果を撮影し、画像データとして保存した。これも今や昔の話だ。
写真の入札は「県庁舎設備総合管理」の業務委託に関するもの。業務の中身は後回しにするとして、写真は3カ年分の入札結果を並べてある。左からそれぞれ平成27年、同28年、同29年3月に実施された入札で、次年度の委託業者が選定された。
平成27年3月、同28年3月実施分を見比べていただきたい。まず入札者だが、どちらも3社で構成する2つの企業体(JV)の名が見える。入札結果の紙にはない、過去に実施された入札の公告をみると、例年この案件は一般競争入札で行われているようだ。指名競争入札であれば、参加が2者ということはない。競争性を確保するため3者以上は指名し、入札に参加させる。
入札の結果からすれば、「一般競争入札を実施したが、2者しか参加がなかった」ということだ。その参加者だが、27年は〈新生・昱・ユアテック共同企業体〉と〈太平・大洋工業・大明電業企業体〉。28年は〈新生・ダイダン・ユアテック共同企業体〉と〈太平・大洋工業・大明企業体〉。前者の構成で1社変更があっただけで、応札者はほぼ同じメンバーだ。
次いで応札額に注目していただきたい。…続きは本誌に