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2024年11月21日

政令市新潟の場当たり行政 「前知事が逮捕する」発言の結末

2017年03月27日

昨年7月、篠田昭市長は突如としてNEXT21への中央区役所移転を表明した。だったら同ビル内にある「子育て広場」をどうするか、夜も営業する飲食店が入るビルに、個人情報を扱う区役所を移転して大丈夫なのか等々、ある程度のめどは立っているものと思っていた。ところがほとんど行き当たりばったり。8月14日の区役所開業を危ぶむ声もある。

 

篠田市長、放射性汚泥処分をめぐる「前知事が逮捕する…」発言のお粗末な結末

 

スキャンダルのような発言だった。市長は記者会見で、「放射性汚泥を勝手に処分すると逮捕すると泉田前知事に言われた」と発言した。だが前知事の抗議を受け、あっさりと白旗を上げた。議会では「篠田市政が4期で終わるとはいっていない」と発言。こっちはその勢いで5選に邁進してもらうしかあるまい。

 

「あの、私は篠田市政が4期で終わるということを1回も言っておりません」

 

新潟市議会2月定例会で、白眉の発言はこれだったろう。3月7日、共産党の五十嵐完二市議の一般質問に対し、篠田昭市長が答えた際の1コマだった。別に同市議は5選に向け、市長の出馬を促そうとしたものではない。

 

時おり篠田市長は議会でキレかかった答弁をすることがある。前出の答弁は、そのお笑い版みたいなもの。市長自身も、質問した五十嵐市議や高橋議長もほとんど吹き出し気味で、市議や市幹部らが居並ぶ議場もドッと沸いた。

 

こちらの市長発言はまだカワイかった。いただけなかったのが3月14日の記者経会見で、浄水場などで保管されている放射性物質を含む汚泥について聞かれた際の発言だ。

 

100から8千ベクレルまでの汚泥について、国は自治体の最終処分場へ埋め立てることを認めていた。だが本県の泉田裕彦前知事は、原発事故の原因者である「東京電力が引き取るべきだ」としていた。一方、東電側は「法律上は自治体に放射性物質を含む汚泥を処分する権限がある」としていた。

 

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国が権限を認めているなら、新潟市が独自で浄水場の汚泥を処分することもできたはず。できなかった理由を、篠田市長は記者会見でこう述べた。

 

「これまで前の知事は、あれ(放射性物質を含む汚泥)を動かすと、〝あなたたち逮捕するよ〟と言っていたので、我々も逮捕されると困るので、県の指示に従わざるを得なかったということです。その県の大きな方針転換があったと受け止め、我々は県外に移送するということで、しっかりと処理をすることが可能になったと思っています」

 

この日の篠田市長の発言によれば、県は国の方針に従うことになったのだという。それにしても、いかに前知事とはいえ、軽々に「逮捕するぞ」などと言うだろうか…? と思っていたら、新潟市のウェブサイトに市長のコメントが掲載された。それが以下。

 

〈泉田前知事から『知事に警察の指揮権はなく、新潟市長の発言について訂正を求める』旨の申し入れがありました。3・11大震災以降、増え続けていた浄水汚泥の処理について、当時の泉田知事と同席の際に話が及び、知事発言を『逮捕』との趣旨と私が受け止めたものであります〉

 

前知事も前知事だったが、市長も市長だ。こんなことだから「水と土の芸術祭もけっこうだが、浄水場の土の方がもっと大事だ」などと言われるわけだ。

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