見切り発車で周囲を困惑させた高田高校の「式服」導入計画
2017年02月27日
高田高校が導入を検討する「式服」が、生徒・保護者・OBの間で話題になっている。学校側は当初、式服の導入に向け準備を急いでいた。しかし一部OBから反発を受け、若干その姿勢を緩めた。学校長は今年秋の式服導入を希望するが、一部OBとの対立は簡単に収まりそうにない。
スーツでの企業訪問に違和感を覚えた校長
高田高校では毎年秋、2年生を対象に企業訪問を行っている。訪問先は主に都内の超大手企業。
例えばʼ16年度の訪問企業は朝日新聞社、大日本印刷、大成建設、キヤノン、日立製作所、フジテレビジョン、東芝、東宝、東急ハンズ、富士通、野村證券などなど。
企業訪問の際、生徒たちはリクルートスーツを着用するのが習わし。というのも、高田高校には指定制服がない。男女共に私服での通学が認められている。
企業訪問行事はʼ09年度からスタートした。実は開始初年度、生徒にはスーツの着用が義務付けられていなかった。つまり私服で企業を訪問していた。
なぜスーツになったかといえば─。
高田高校の早川智教頭が話す。
「生徒の訪問後、企業にはお礼の電話を入れ、時には東京までお伺いすることもあります。初年度、その際に企業の方から”私服での訪問はどうなのか?”というご指摘をいただいたそうです。そこで翌年度から、生徒はスーツを着用することになりました」
高田高校では2年生への進級時、生徒の保護者にスーツを購入してもらうよう呼びかけている。
企業訪問の出発式はJR上越妙高駅で行われ、高田高校2年生が一様にスーツを着て並ぶ。その光景に、同校に昨年4月に赴任したばかりの小野島惠次校長は強い問題意識を持った。
「高校生として企業訪問に出かけるはずなのに、民間企業の新人研修のようにも見えました」 (校長)
これが「式服」騒動の発端だ。
「企業を訪問させていただく際の服装として、リクルートスーツは確かにきちんとした格好です。しかしそこに、高田高校生としてのアイデンティティーはありません。
さりとて本校は規定の制服がありません。過去、生徒が制服を廃止した経緯があります。校訓である自主自律の精神を、私は大事にしていきたいと思っています。
そこで生徒には、公式の場面の服装として、揃いのジャケットを1着購入してもらってはどうかと考えました。スラックスやスカート、ワイシャツやネクタイ等を指定するつもりはありません。コーディネートは生徒に任せます。ジャケットのみ共通したものを着てもらい、できれば徽きしょう章(校章)も付けてほしい。私服では徽章を付ける場面がほとんどないので、揃いのジャケットに徽章を付け、高田高校生としてのアイデンティティーを持ってほしいと思います」 (同前)
校長はジャケットの着用シーンとして企業訪問時以外に入学式や卒業式、創立記念式典や推薦入試の面接時などを想定。このジャケットを「式服」と呼んでいる。
この式服導入の動きに怒るのが、学校から制服廃止を勝ち取った世代の高田高校OB。…続きは本誌に