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2024年12月3日

超前のめり!? NEXT21取得前に移転設計発注の新潟市

2017年02月27日

昨年7月、篠田昭市長は突如中央区役所を古町地区のNEXT21に移す方針を発表した。そして市議会は昨年の12月定例会で13億5千7百万円を上限とする同ビルの取得費を認めた。ただし2月中旬段階でビルの所有者と同市との契約は成立していなかった。ところが昨年12月、市はさっさと区役所移転に関する設計業務を発注。その額、1千328万円なり。

 

いえ、知りません、まさか

 

「え~っ、本当ですか?」と、当事者さえ驚きの声を漏らす事態が明らかになった。新潟市は人さまが所有する建物の設計業務を市内の設計会社に委託していた。そんな〝勇み足〟とも思える早わざの対象となったのがNEXT 21 だ。

 

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昨年7月、篠田昭市長は突如として中央区役所を古町地区の複合ビル、NEXT21に移す方針を発表した。「寝耳に水」と、複数の市議が当時の市議会で発言したほど唐突な事態だった。本来なら事前に話があるべき地元の自治協議会やコミュニティ協議会に説明もなかった。

 

与党系の市議ですらタマゲたらしい。その混乱ぶりが会議録に見える。

 

「先般まさに寝耳に水でありましたが、NEXT21に中央区の行政機関を移すとの報道がありました。区民からは議員さん本当ですかと朝から電話があり、いえ、全く知りません。何も聞いていません。まさかでしょうと答えるしかありませんでした」(渡辺均市議、新市民クラブ)

 

とにかくNEXT21への区役所移転話は異例づくめだった。平成5年(1993)竣工の同ビルは、分譲マンションと同じ区分所有となっている。3年前、全体の約8割(地下3階から地上19階)に相当する権利が東京・福生市の不動会社、金桝に移った。そして昨年4月の売買で、同社から阿賀野市の不動産会社、五頭に移っている。

 

金桝は不動産投資法人を経て、5億円で取得した。金桝から五頭への譲渡価格は10億6千万円だった。不動産に定価があるわけではない。いわば時価で、ビルを所有することで見込まれる収益をどう評価するかで金額が違ってくる。

 

五頭への譲渡価格は10億6千万円だが、取得に際し、公租公課等で3億7千万円、維持管理費等で2億4千万円など、全体で16億7千万円の経費がかかっているという。

 

新潟市が区役所の移転を予定するのはNEXT21の2階から5階部分。五頭が所有する全体の8割のうち、その32・6%に相当し、「NEXT21にとって、最も収益性の高い部分」という指摘もある。同市は賃貸でなく、売買でフロアを取得するとした。

 

昨年の市議会12月定例会で示された購入費は13億5千700万円。この金額は購入部分の不動産鑑定評価額で、これを上限に市は所有者と交渉するとした。

 

これまた寝耳に水

新潟市によるNEXT21の購入費について、昨年12月の市議会では付帯決議が提案された。「市民理解が得られる適正な取得価格及契約内容となることを求める」というもの。要は「高
過ぎる」というクレームだ。

 

五頭の取得金額は10億6千万円、経費も含め全体で16億7千万円だった。その32・6%に相当するフロアを、市は上限13億5千700万円で取得するという。議会の一部からは、確かに「高過ぎる」という声が上がっていた。

 

ただし不動産の評価額は、見込まれる収益から価値を求める手法もある。13億5千700万円という鑑定額の妥当性を疑問視する声もあった。12月定例会に提案された付帯決議だが、委員会で可決されたものの、本会議では一転して否決となった。

 

昨年、篠田昭市長が発表して以来、NEXT21への中央区役所移転は自明の理のようになっている。だが購入予算が認められたのは昨年12月で、今年2月初旬の段階でも所有者との契約は済んでいなかった。仮に所有者が「絶対に売らない」と言えば、移転計画はご破算で水泡に帰す。

 

ところが…続きは本誌に

 

 

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