新潟三越・伊勢丹がリストラを余儀なくされた全真相
2017年01月27日
三越伊勢丹ホールディングス(HD)が新潟三越と新潟伊勢丹の構造改革に乗り出すことを決めた。要するにリストラ(事業の再構築)だ。消費者の節約志向を背景とする業績不振が理由で、新潟伊勢丹に比べるとやや苦戦している新潟三越の売り場縮小も取り沙汰されている。新潟市中心部にある2つの百貨店で今、何が起きているのか。
大和閉店でデパ地下は堅調でも
三越伊勢丹HDの構造改革について報じたのは1月9日付の読売新聞だった。それによると新潟のほか、札幌、静岡にある5店舗について売り場面積の縮小や業態転換を含めた構造改革を行う方向で調整に着手。
このうち札幌は新潟と同様に同じ市内に店舗が2つあり、客が分散するなど営業効率が悪くなっていたという。片や新潟市内に三越伊勢丹HD傘下の新潟三越と新潟伊勢丹が併存するのは周知のとおり。
新潟三越伊勢丹の浅田龍一社長は新潟日報のインタビューでこの件に触れ、「将来的に大きな投資をするとすれば、新潟伊勢丹を優先して収益力を高め、新潟三越は縮小する可能性もある」と語っている。
新潟三越が立地する古町地区は大和新潟店が閉店したのに続き、昨年1月末にはラフォーレ原宿・新潟が撤退。この影響などにより新潟三越の集客数は前年比5%程度のマイナスとなっているという。
「新潟三越、縮小も視野に」の一報に触れた古町地区の住民が話す。
「三越さんにはなんとか頑張ってもらいたいものです。私たち年配者は百貨店で高級な衣料品を買うような経済力はありませんが、地下食料品売り場には本当にお世話になっています。
ご存じのとおり大和が閉店してからというもの、このあたりの年寄りは〝買い物難民〟などと呼ばれるようになりました。よく行くのは西堀通3番町の清水フードセンターですが、家からはかなり歩くので、ちょっとした買い足しには三越が便利なのです」
現在、古町界隈でまとまった品揃えのある店は新潟三越の地下食料品売り場や清水フードセンターのほか、本町商店街がある。
本町商店街からほど近い住民がいう。
「本町のイトーヨーカドーの前には頻繁にタクシーが止まっていますが、あれはお年寄りが自宅から乗ってきたタクシーを待たせたまま買い物をしているのです。古町界隈の”買い物難民”の深刻さを象徴する光景といえますね」
そんなお年寄りたちにとって新潟三越の日配品は日々の生活を送る上での生命線といっても過言ではない。実際のところ、新潟三越の地下食品売り場は堅調な営業成績を上げていたという。
流通関係に詳しい人物がいう。
「大和が閉店して以降、新潟三越の地下食品売り場、いわゆるデパ地下にはかなりの客が流れ込んだといわれています。これは新潟伊勢丹のデパ地下にもいえることで、食品の売り上げは基本的に好調なのです」(流通コンサルタント)
かつて大和が行った贈答品商法
一方、これは新潟三越や新潟伊勢丹にかぎったことではないが、贈答品売り上げの減少も経営に暗い影を落としているという。
前出の流通関係に詳しい人物が話す。
「景気低迷を背景に中元や歳暮の売り上げ単価は弱含みに推移していますが、それとは別に百貨店の贈答品売り上げがその昔に比べて減少している大きな理由が実は個人情報保護と大いに関連があることはあまり知られていません。端的にいうと、〝ワケありの付け届け〟が激減したのです」 (流通コンサルタント)
これから記すことは現在営業している新潟三越や新潟伊勢丹の話ではなく、かつて大和新潟店で実際に行われていた独自の贈答品商法だ。
前出氏が続ける。…続きは本誌に