日本海横断航路船購入トラブル 米山知事発言の重さ
2016年12月27日
大方の予想どおり、日本海横断航路の船購入に関する訴訟は和解で決着が付くことになった。その次に矛先が向かうのは三セクの出資者であり、事業を共同して進めてきた県側だ。米山隆一知事は、一歩も二歩も踏み込んでこの問題に関する県の責任に言及している。
和解で決着
12月19日、米山隆一知事は訴訟に発展した日本海横断航路の船購入トラブルについて、和解成立に関するコメントを発表した。
〈この度、日本海横断航路の船舶調達問題に関し、訴訟当事者である売主の企業と、県の出資企業である新潟国際海運株式会社との間で和解が成立したことにより、事態の収拾が図られ、これ以上の事態の長期化を避けることができたものと考えております(以下略)〉
日本海横断航路の船購入トラブルだが、この事件の報道をめぐり、前知事と地元紙が鋭く対立。結果として4選出馬を表明していた前知事が「選挙戦からの撤退」を表明することになった。この事件がなければ米山知事の誕生もなかったわけだ。
それはともかく、船購入トラブルだが、真面目に考えるのがバカバカしくなるような代物だった。船の買主は、県が全体の約65%に相当する3億円を出資した第三セクター新潟国際海運の100%子会社「NAFJパナマ」(パナマ社)。
そこが韓国企業から、およそ5千万円とされたスクラップ同然のボロ船を、契約金額5億円ほどで買うことを決めた。契約前に検船はしたが試験運航はせず、船を日本に回航しようとしたらエンジン停止で漂流すること1時間。予定の速度が出ないことから買主が受け取りを拒否したら、売主に訴えられ、海事仲裁機関で買主側が実質敗訴した。
買主がこの仲裁機関の決定に従わないため、売主の韓国企業が約1億7千400万円の損害賠償などを求め、10 月新潟地裁に訴訟を起こした。第1回口頭弁論は11月24日に行われ、三セク側は争う姿勢を見せていたが、1月26日の第2回目が行われる前に、裁判は和解が成立した。
〈このプロジェクト(日本海横断航路)を関係者と共に推進してきた県として、当事者及び関係者の皆様のご努力に感謝いたします。
和解が成立したことを受け、現在、調査を進めている事実関係については、今後、監査委員による監査結果も踏まえて、早期に御報告できるよう作業を進めてまいります。
また、日本海横断航路は、本県の北東アジアゲートウェイとしての発展に寄与することが期待されているものと考えており、実現に向けた今後の方針について、県民の皆様、県議会及び経済界等のコンセンサスを得ながら、引き続き、検討してまいりたいと考えております〉(和解成立に関する米山知事のコメント)
和解への伏線
就任以前から、米山知事は裁判の早期和解について言及していた。10月25日に行われた就任記者会見では次のように述べていた。
〈大きな方針としては可能な限り県民の負担を減らしつつ、可能な限り速やかに、可能な限り円満に、かつきちんとした原因(の解明)、再発防止策を打って解決していきたい〉
11月2日の定例記者会見では次のように述べていた。…続きは本誌に