─ 楓さん、頑張れ!24歳の波乱万丈奮闘記 ─
2016年11月28日
「かつての職場の先輩に再会したい」
21世紀新潟に、こんな若者がいたのか! 世知辛い世の中ではありますが、いわゆる今どきの若者…、それも女性ということで、私自身が背筋を正されるほど、いたく感心した
お話であります。
今回の調査依頼者は長岡市在住の小林楓かえでさん(仮名)。最近、県内某所の勤務先で新たな道を歩みだしたところだとおっしゃいます。
年齢は24歳です。当調査事務所に調査を依頼される方々の中でもほぼ最年少ではないでしょうか。
相談室のソファーに腰を下ろした楓さんが一呼吸おいて、
「捜してほしい人がいまして…」と切り出したものですから、私も最初は「好きな男性かな?」と思ったのですが、これは早合点でした。
楓さんが本題に入ります。
「実は私、一年程前にそれまで勤めていた工業製品製造会社を退社したのです。捜していただきたいのはその会社の坂本麻子さん(仮名)という女性です。年齢は現在50歳位だと思います。
会社に在籍当時、坂本さんには本当にお世話になりました。社員旅行のときには同じ部屋になって、夜遅くまでいろんな悩みを聞いてもらい心が救われました。でも私、その会社の辞め方が割と急だったため、坂本さんにちゃんとご挨拶することができませんでした。今思うと本当に心残りでなりません…」 (楓さん)
私は楓さんに詳しい退社理由はお聞きしませんでしたが、十中八九、何か不始末をやらかしてその責任を取って退社したとは到底思えません。
とはいえ若い女性が、中途退社した新卒入社の会社をふいに訪ねるなどということは、なかなか抵抗があるのは想像に難くありません。それがお世話になった先輩女性への挨拶が目的だったとしてもです…。
そこで楓さんは勇気を振り絞って坂本さんの当時の携帯電話番号にかけてみたそうですが、結局連絡は取れなかったといいます。
また、楓さんは坂本さんの詳しい住所も把握しておらず、燕市内とだけ聞いた覚えがあるといいます。
氏名や当時の勤務先が分かっていましたから、坂本さんの現在の状況を掴むことができる可能性は高いといえます。実際、幸いにして勤務先も変わっておらず直に判明しました。
しかしながら楓さんが次のステップとして、坂本さんとどのように再会を果たせばいいのか少々悩みました。
たとえば最も手っとり早い方法として坂本さんの自宅を訪問するという手段があります。その際には私が楓さんの叔父に扮して「姪っ子の楓がその節は大変お世話になりました」といって頭を下げることなど朝飯前です。
しかし、私の中では「果たしてそれでいいのかな?」といった思いがありました。なぜなら楓さんがいきなり自宅を訪ねれば、坂本さんは必ずや「なぜ住所が分かったのだろう?」と考えるに違いないからです。
ここはやはり坂本さんの立ち寄り先でばったり再会するのが最も自然と思われます。そういった舞台を演出するためにも、私たち調査員は坂本さんの行動パターンをもっと詳しく調査することにしたのでした。…続きは本誌に