『アルコールと肝臓』
2016年11月28日
■医師データ
波田野徹。信州大学医学部卒。新潟大学医学部第三内科に入局。長岡中央綜合病院内内科部長を経て平成21年に開業。医学博士。日本消化器病学会認定専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。
『酒は百薬の長』といわれるが、飲み過ぎてしまっては万病の元になりかねない。とくに酒量の多い人は、アルコールを分解する働きのある肝臓の状態に注意が必要だ。そこで今回は、アルコールと肝臓について取り上げる。解説は丸山診療所の波田野徹院長にお願いした。
「お酒を飲みすぎると、脂肪肝や肝硬変などの病気になることはよく知られています。どのように病気が進行するのでしょうか。
体内に入ったアルコールは肝臓で代謝酵素の働きにより、アセトアルデヒド・酢酸へ代謝され、最終的に水と炭酸ガスになり体外へ排出されます。アセトアルデヒドは有害物質で、頭痛や吐き気などの悪酔いを起こし、肝細胞を傷つけ、肝細胞周囲に線維化を招きます。長年にわたる過度の飲酒により脂肪肝を通り越して、肝炎・線維化症が進行しアルコール性肝硬変に至る場合があります。そうなると硬い組織により血管が圧迫され、肝内の血流が悪くなり、肝機能が低下します。一般にアルコール性肝硬変は、肝炎ウイルス(B型・C型)由来の肝硬変より発症年齢が低く、多くの場合アルコール依存症を伴っています。
お酒は『百薬の長』といわれるように、適量を守って飲めば健康にマイナスには働きませんが、飲む量が問題です。
それでは飲酒の適量とはどれくらいなのでしょうか。…続きは本誌に