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2024年11月22日

元経産官僚・古賀茂明氏が語った「泉田撤退」の理由

2016年10月27日

まるで原発利権を告発した小説、『原発ホワイトアウト』のようだった。その主人公である伊豆田知事のモデルとされた泉田裕彦前知事は突如選挙戦からの撤退を表明した。経産省の先輩である古賀茂明は、「(前知事は)本当のことを言っていない」という。

 

知事及び家族への圧力

 

告示日の2日後、選挙期間で初の週末となった10月1日、米山隆一の選挙応援に元経産官僚の古賀茂明が登場した。7月の都知事選で民進党の東京都連が出馬を要請した人物だ(結果的に野党統一候補はジャーナリストの鳥越俊太郎になった)。

 

かつてテレビ朝日の「報道ステーション」でコメンテーターも務めた古賀は政策通として知られ、いわゆる原子力ムラと厳しく対峙してきた。同じ経産省出身の泉田裕彦前知事と、どこかイメージがダブる。

 

その泉田前知事だが、突如として知事選から撤退した理由が未だ不明だ。前知事は新潟日報の報道を理由としていたわけだが、一概に信じがたい。撤退を表明した翌日(8月31日)の記者会見で、以下のようなやり取りが記録されている(県発表の記者会見の要旨、録画に基づく)。

「知事及びご家族への圧力と言いますか、(知事選に)出ないで欲しいというような、有形無形のそうしたことがあったのか。その点はいかがでしょうか」(朝日新聞)

 

以下は記者会見の録画に基づき、極力忠実に前知事の回答を再現したもの。

 

「どういう圧力かというところの定義…、定義で圧力に該当するかどうかという部分はあると思うんですけども、昨日申し上げたとおり、〝日本海横断航路の問題というものを使って、知事選への立候補、これを取り下げるようにするプロジェクトがあるのだけども、現状はどうか〟、という取材の申し入れは受けたことは事実としてあります。

 

それ以外にささやかれたものをこの場でご紹介することは適切ではないだろうと思っています」

 

何か含みを持った言い回しだ。結局のところ記者会見では「前知事、あるいは家族への圧力」について、これ以上語られることはなかった。

 

知事選、ホワイトアウト

 

p40

米山の応援に駆け付けた古賀茂明だが、泉田撤退後に新潟県知事選の候補者としてその名が取り沙汰された。その後に米山の選対本部長に就くことになった森裕子参院議員、あるいは生活の党(現自由党)が擁立を模索しているとされた。だが不調に終わった。

 

次いで知事候補として名前が浮上したのが、原発利権を告発した小説『原発ホワイトアウト』の著者で、「現職官僚の覆面作家」と言われる若杉冽だった。だがその名は浮かんですぐに消えた。この『原発ホワイトアウト』で登場するのが新崎県知事の伊豆田清彦だ。

 

明らかに本県と泉田前知事がモデルとなっているわけだが、新崎県は関東電力の新崎原発を抱え、その再稼働を国や与党が推し進めようとし、伊豆田知事がこれに待ったをかける。政府・与党側は再稼働に邪魔な伊豆田知事の失脚を画策し、検察を動かし贈収賄事件を仕立て上げ、知事を逮捕する。

 

『原発ホワイトアウト』のストーリーはまだ続く。この作品は3年前に発表されたものだ。小説のモデルとなった泉田前知事だが、日本海横断航路の船購入に関する報道を理由に、知事選からの撤退を表明した。この小説は第10章が〈暴走する新聞〉となっているわけだが、何やら予言めいた内容だ。…続きは本誌に

 

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