虚偽と指摘された県議会答弁の不可思議な部分
2016年08月27日
船購入の契約が結ばれたのは昨年8月26日。それから1カ月半ほど経過した県議会で、県当局は「絞り込みの最終段階」と答弁していた。その言い訳もあるわけだが、船購入に関して県議会は新潟市議会よりも情報過疎の状態にあった。
虚偽答弁の所
昨年の県議会9月定例会でのこと、10月8日に開催された建設公安委員会で小山芳元県議(社民、上越市)が日本海横断航路に関連し、
「フェリーの購入状況はどのようになっているのか?」
と質問した。
当時の港湾振興課長はこう答えた。
「フェリーの調達につきましては、中古船市場から適船を調達できるよう船舶のブローカーを通じて情報収集し、候補船の選定を進めてまいりましたが、現在は候補船を絞り込み、取得に向けた調整を進めているところでございます」
課長は小山県議の質問に再度「候補船を絞って、最終的な諸条件を調整している段階」と答えている。この答弁について、「県、議会に虚偽説明か」と8月4日付の新潟日報が社会面で大きく報道した。理由はすこぶる明快で、中古船の契約日は、この答弁の1カ月半ほど前の昨年8月26日だからだ。
小山県議とのやり取りがあった前日、総務文教委員会で石井修県議(自民、新発田市北蒲原区郡)の質問に対し、政策統括監がこう答弁している。
「現状につきましては、適船を絞り込む作業を続けておりまして、その適船の絞り込みが最終段階に入りまして、今、確保する、調整をする最終段階ということであります」
これも「虚偽」ということになるのだが、前出、日報の記事に対する申し入れで、泉田知事はこう反論している。
〈当時は試験運航も実施できていない中での契約であったことから、(船を買う)会社からは『今後、回航する際に必要な確認はする。その際に不具合があれば船舶を引き受け
ないことも可能』との説明を受けており、県としては船舶の購入手続が終了したとの認識はもっていなかったところです。 そのため『取得に向けた調整を行っているところ』との説明をしたものです〉
新潟市は知っていた…?
昨年8月26日、県が出資する第三セクター、新潟国際海運の子会社、パナマ社は韓国企業との間で船の売買契約を結んだ。その額は約5億円だった。同日付の船の改造費に関する見積書が明らかになっている。
その額は船の値段をはるかに超える9億円だ。契約したことも、改造費で9億円の見積書が出ていることも、昨年10月の段階で県議会にはまったく明らかにされていない。
ところが新潟市、あるいは新潟市議会はこうした経緯を承知していた可能性がある。しかも県側からの情報としてだ。もともと市は新潟国際海運に2億円を出資する予定だった。昨年8月20日の「日本海横断航路関係者会議」で、市の幹部が「9月議会で予算を用意させていただきたい」と発言していた。…続きは本誌に