日本海横断航路船舶購入頓挫問題
2016年07月27日
この件について、次第に全貌が明らかになりつつある。日本海横断航路の船舶購入がとん挫した経緯についてだ。地元紙が連日1面で報道し、売主側の代理人も「情報は基本的にすべて明らかにする」と語っている。この際、新潟県も新潟国際海運もすべてを明らかにしていただきたい。
党議炎上
7月19日のことだ。ある自民党の県議がこう言った。
「今日、党議で県の桐生裕子交通局長の弁明があった。鋭い質問が多く出て、党議はほとんど炎上だ。9月の定例会を待たず、特別委員会を含め何らかの対応をすることになる」
県の局長が弁明したのは、7月に連日地元紙「新潟日報」の1面を賑わせた「日本海横断航路 船購入とん挫」の一件だ。
対岸諸国、とりわけ北東アジアや極東ロシアとの交流拡大が新潟の拠点性を飛躍させる鍵になる。泉田裕彦知事の3期目のマニフェストにも、〈日本海横断航路など対岸諸国との航路の積極的な開設〉の文言が見える。この日本海横断航路の事業を進めていたのが新潟国際海運(五十嵐純夫社長)だった。
平成19年に設立された会社だが、設立当初の資本金は1億円で、当初の社名は北東アジアフェリー船舶投資だった。次いで北東アジアフェリージャパン、そして現在のそれへと変更されている。
昨年8月、新潟国際海運は『日本海横断フェリー事業計画( 案)』を作成し、県や新潟市、民間に出資を募った。当然ながらこの事業は船なしでできるものではない。船購入の原資とすべく、全体で8億円の出資を想定していたという。
この『事業計画案(案)』によれば、船は「NAFJ PANAMA INC(ナフジェイ・パナマ社)」(パナマ会社)という新潟国際海運が100%出資した南米パナマ籍の子会社(五十嵐純夫社長)が所有し、〈新潟国際海運はパナマ会社からフェリーを傭船します〉(『同』となっていた。
県はこの『事業計画案(案)』に賛同し、日本海横断航路の事業を進めるべく新潟国際海運に3億円を出資した(県港湾振興課の説明)。そして64%の筆頭株主になった。
県が筆頭株主である新潟国際海運の100%子会社、パナマ会社が船の購入に当たっていたわけだが、トラブルが生じた。購入を予定していた韓国籍の船「オハマナ号」が、当初予定された速度が出ないことが判明したという。そのため韓国からドックのある広島県まで船を運んだものの、買主は引き取りを拒否していた。
売主はソドンマリタイムという韓国の中古船売買の仲介会社だった。船の価格は5億円、買主は手付金7千万円を払っていた。売主は売買契約は成立していたと、残額の支払いなどを求め、裁判所に相当する日本海運集会所に仲裁を申し立てた。…続きは本誌に