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2024年11月24日

上越新幹線新潟空港乗り入れ”識者座談会”

2016年07月27日

30年も議論ばかりに終始し、計画がまったく進まない上越新幹線の新潟空港乗り入れを早期に実現しようではないか―。前号で本誌がそのように提案したところ、地元経済界から多くの賛同を得た。新幹線の空港乗り入れは新潟の発展につながるだけでなく、将来的に高確率で発生するとされる大地震が東京を襲った際、新潟が首都機能をバックアップする上でも必要不可欠な交通アクセスだ。加えて新潟東港を増強すれば、いざという時の東京にとって新潟ほど頼もしい存在はない。前号の総論に続き、本号では識者座談会を通じてこの問題をさらに深く考える。

 

JRに拒絶されても諦めなかった仙台

 

瀬戸田 本日は上越新幹線が新潟空港へ乗り入れることによる経済効果、あるいは乗り入れを実現させるためにはどのような運動をすべきなのか意見交換をお願いいたします。

新潟は30年も前から会議ばかり続けており、計画はまったく前進しておりません。すでに在来線が空港に乗り入れている仙台市の例なども見ながら考えてみたいと思います。

まず経済効果の面から、新幹線の空港乗り入れは新潟に何をもたらすでしょうか。

 

佐藤 新幹線が空港に乗り入れれば、新幹線の乗客数はかなり増えるのではないでしょうか。とはいえ新潟空港の利用者がだいぶ減少していますから、どのくらい新幹線利用者が増えるのかは空港自体の活性化がカギを握っています。

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井手 新潟空港の利用者数はここ数年、年間100万人ほどです。多かった頃は年間140万人が空港を利用していました。

国内線全体で見ると、かつて年間利用者が9,000万人を下回った時期がありました。その後また回復基調に転じましたが、新潟空港にかぎらず国内線の利用者が今後どんどん増えるということは考えられないと思います。

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瀬戸田 群馬県議会にも新幹線の空港乗り入れを待望する声がありますから、新幹線利用者が増えるのは間違いないところでしょう。ほかにはどのような効果が予想されますか。今から26年前に新潟空港への上越新幹線乗り入れ構想をまとめたご本人でいらっしゃる五十嵐社長はいかがですか。

 

五十嵐 30年近く前の計画ですが、そこから何が変わったかというと何も変わっていません。経済効果について考える前に私が新潟空港への新幹線乗り入れ構想をまとめるに至った経緯をご説明させていただきます。

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私は平成元年にJR東日本を退社した後、現地調査をしながら新潟県の鉄道交通計画を整理しました。国鉄からJRに民営化しまして、当時の工事局が担当していたさまざまなプロジェクトが民営化されたことにより変質してくるものと考え、新潟県内でどのような鉄道プロジェクトがあり、鉄道計画はどうなのか取りまとめたのがきっかけでした。

そのときにどう見ても新潟空港まで新幹線を延伸させたほうがいいと考えて構想をまとめ、平成2年に当時の金子清知事にご説明申し上げました。金子知事は空港への新幹線乗り入れ構想をすぐに「戦略21 プロジェクト」に盛り込み、計画を進めようという機運が高まりましたが、残念ながら例の件(東京佐川急便事件=金子知事は政治資金規正法違反で起訴され辞職)で成就できませんでした。

一方、私は仙台放送の記者と非常に懇意にしていたものですから、同じように新潟空港への上越新幹線乗り入れ構想について説明させていただいたところ、関係者の方々に大変関心を持っていただきました。というのも仙台市ではす

でに昭和59年に仙台地方陸上交通審議会が仙台空港線の実現可能性について検討するよう答申していたのです。

そして…続きは本誌に

 

 

 

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