地元業者が泣く 新潟市発注工事の奇態
2016年07月27日
新潟市の入札では、土木工事でほぼ9割、塗装工事のほとんどすべてで、くじ引きによって落札者が決定されている。さっぱりくじに当たらない業者もいる。中には3回連続で当たりくじを引いた業者もいる。これが官製談合事件を教訓に、公正かつ公平な入札を目指した結果なのだろうか。
くじ引き連チャン受注発見
設備関連の営業担当者が言った。
「新潟市の入札結果を見ていましたら、珍しいものを見つけました。同じ業者が2回連続してくじで当たっているんです。今どき市の入札に限らず、同額のフダが並んで、くじ引きで落札者が決まるのは珍しくありません。でも連チャンでくじに当たるなんで、そうあるもんじゃない」
この頃、紙のフダを使う入札は珍しくなった。ほとんどが電子入札で、インターネットを介して入・開札が行われる。その結果もネット上で公開されている。それゆえ誰でも簡単に入札結果を確認することができる。その昔、建設業の営業マンは役所に出向き、張り出された入札結果を手帳に細かくメモして帰ったものだが…。
新潟市の場合、ウェブサイトのトップページから「事業者向け情報」に入り、「入札・契約情報」に進む。入札・契約情報は「物品購入・業務委託」と「建設工事・建設コンサルタント」に分かれている。
そこから入ると建設工事の入札・契約結果を確かめることができる。新潟市の入札結果公開システムは分かりやすく使い勝手がいい。10年以上前の入札までさかのぼることができるのは同市くらいなものだ。
新潟市では今年4月1日から7月15日まで、227件の工事が発注された。受注業者の選定方式は、指名競争入札もあれば一般競争入札もある。前者は比較的小規模の工事で、発注側が決めた入札参加者で競うもの。後者は一定の条件をクリアすれば、誰でも参加できる方式の入札だ。
工事などの入札は一定の範囲内で、最も安値のフダを入れた者が落札となる。だが価格だけではなく各種の実績や様々な評価点を加味して落札者を決める総合評価方式もある。特殊なケースでは、競争ではなく特定業者と随意契約を結ぶこともある。
4月1日から7月15日で、こうした様々な方式の入札が行われている。今年度、最初の落札業者は加賀田組(新潟市中央区)で、4月14日(開札)に新潟市美術館の屋上防水改修工事を4千万円(税抜き)で受注した。
入札結果を年度当初からたどっていくと、冒頭の営業担当者が指摘した通り、2回連続してくじ引きで落札者が決まったケースがあった。発生したのは5月25日(開札)。…続きは本誌に