『定期的に受けて安心、大腸内視鏡検査』
2016年07月27日
■医師データ
平成2年新潟大学医学部卒、同大学消化器内科に入局。長岡赤十字病院、立川綜合病院、白根健生病院などを経て平成12年開業。医学博士。
近年、大腸がんの患者が増えているという。ただ、初期であれば5年生存率が80%以上というデータもあるので、カギは早期発見ということになりそうだ。そこで今回は、大腸内視鏡検査を取り上げる。解説は鈴木内科医院の鈴木東院長にお願いした。
「日本人の大腸がんが増加しています。原因はまだわかっていませんが、高脂肪、高たんぱく、低繊維成分といった食事の欧米化や診断能力の向上などが挙げられています。60歳代に最も多く、次いで70歳代、50歳代と続きます。男女による差はありません。
大腸がんは進行してしまうと命に関わります。しかし、早期発見であれば比較的治りやすいがんといえます。では、早期発見するにはどうすればということになりますが、これは定期的に大腸内視鏡検査を受けるということに尽きます。
検査ですが、前日夕食までは普通に食べられます。寝る前に下剤を飲み、当日朝に腸で吸収されない液体を2ℓ飲みます(これがつらいという人が多いです)。便が残っていると奥まで入らなかったり、観察不良になるので、腸管内をきれいにします。おしりから内視鏡を入れ、15分前後で右下腹部の盲腸まで挿入します(腸の曲りが強い方は痛くなることがあります)。ゆっくり戻りながら、ポリープや炎症があるか観察します。この様子はモニターに映し出されますので、患者さんも見ることができ、何もなければ5分ほどで終了です。8割の方に良性のポリープがありますが、良性ポリープはがん化しないので放っておきます。また、良性ポリープがあると心配される方が多いので、説明しないことがほとんどです。3割の方に良性と悪性の中間の腺腫というポリープがあります。腺腫は数%の確率でがん化しますので、発見したらすべて取ります。2ミリ以下は鉗子でかじりとるように、3ミリ以上は電気を使って焼きとるように取ります。1センチを超えるポリープは初期の大腸がんの可能性が高まります。専門医ならその場で判断できますので、その旨を患者さんに説明して、その場で切除します。
腺腫も早期のがんも、これで治療は終了です。患者さんは終わり次第、歩いて帰ることができます。入院も必要なく、抗がん剤など追加の治療もありません。ただし、これが通用するのは初期のがんまでです。…続きは本誌に