県が乗り出す婚活支援 最大の弱点とは!?
2016年06月27日
―男女が顔写真の閲覧なしにいきなりお見合いで果たして成婚する!?―
県がコンピューターを使った「婚活支援マッチング(お見合い)システム」をスタートさせる。結婚を希望する男女の個人情報をデータ化して一元管理。結婚相手に望む条件を入力すると該当者がピックアップされ、お見合いを申し込むといった流れとなる。民間の結婚相談業者の間では極めてありふれたシステムだが、この分野に行政が参入することで果たして成功を収めることができるのか? 問題点や課題を探った。
行政版「結婚相談所」
「婚活」という言葉はもはや完全に市民権を得たといっていい。文字どおり結婚するための活動、それが婚活だ。
日本では結婚しない(できない)人たちが増えている。非正規雇用者の増大を背景とする経済的な問題、あるいは女性の社会進出に伴う結婚観の変化など、さまざまな要因が指摘されているが、おそらくそれらが複雑に絡み合っているに違いない。
実際のところ厚生労働省は昨年の婚姻件数を63万5千組と推計、戦後最少を更新する見通しとなっている。日本は諸外国に比べて結婚と出産を一体として考える風土が強い国とあって、当然ながら婚姻件数の減少は少子化へとつながる。
そして少子高齢化に伴う生産人口の減少は年金をはじめとする社会保障制度を根底から揺るがすこととなり、国や地方自治体にとって少子化対策は喫緊の課題となっている。
こうした中、県は2016年度当初予算に新たな少子化対策事業を盛り込んだ。コンピューターを使って結婚を希望する男女に条件に合った相手を紹介する事業で、名付けて「新潟県版婚活支援マッチングシステム(仮称)」がそれだ。
県はすでに業者に委託して婚活支援マッチングのためのコンピューターシステムを開発しており、今秋を目途に事業を本格的にスタートするべく準備を進めている。
同システムは結婚を希望する独身男女が会員となって個人情報をデータ入力。これを一元管理することにより、会員が結婚相手に望む条件を入力すると、該当者がピックアップされる仕組みだ。
現段階でシステムの詳細は決まっていないが、会員同士の間で公開される個人情報は男女の年齢、居住地、身長、職業、年収、家族構成などが想定される。このほか自己PRや結婚相手に望むことなども記されることになるだろう。
一方、気になる会員登録料は現段階で決まっていないが、こうしたコンピューターを使った婚活支援マッチングシステムは山梨や愛媛、高知などの各県がすでに運用しており、いずれの県も入会登録料は1万円としていることから、本県のシステムもほぼ同等の金額になるものと予想される。
結婚適齢期の息子を持つある男性がいう。
「行政が行う結婚支援事業であれば安心感があります。加えて出費も1万円程度であれば入会する価値は大いにあると思います。問題は本当に希望する結婚相手にめぐり会えるかどうかではありますが…」(新潟市の60代男性)
愛媛では年間50組以上が成婚
しかしながらコンピューターを使って希望する異性を引き合わせるだけならば、これは出会い系サイトとそう大差はない。これでは犯罪や何らかのトラブルに巻き込まれる危険性もあるが、実際のところはそのような心配は無用だ。…続きは本誌に