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2024年11月22日

糸魚川市営旅館「権現荘」の放漫経営に市税補填のナゼ

2016年05月27日

3月17日に閉会した糸魚川市議会定例会。平成28年度予算について審議され、集中審議されたのが約2,700万円もの赤字を計上した権現荘の運営に関するものだった。赤字の要因は支配人による放漫経営と、それをチェックしなかった行政のずさんな管理体制によるものとされ、議員から両者の責任追及がなされた。

 

市営旅館「権現荘」の現状

 

権現荘は糸魚川市柵口地区の閉校した小学校舎を利用し1988年にオープンした。隣接する市営入浴施設「柵口温泉センター」は、権現岳のふもとから湧き出る天然温泉を使用し、旧能生町の地域住民やスキー客に親しまれてきた。

 

ところが、柵口温泉センターは利用者の減少により2015年7月で営業を終了し、日帰り入浴機能を権現荘に一本化した。

 

柵口温泉センターは市民の健康増進・地域住民の福祉向上施設という位置づけで、公共的性格をもった施設としてつくられたものだが、権現荘と一本化することで民間の旅館と同じようなかたちで運営されているのが現状だ。

 

権現荘の経営を見てみると、1991年~2003年度までは毎年度黒字だった。2004年~2015年度のうち8年間は赤字で、基本的には一般会計からの繰入金で補填している。つまり、権現荘が赤字で運営している年は基本的に糸魚川市民の税金で赤字補填をし、経営が成り立っている。

 

権現荘は2010年の『糸魚川第三セクター等の評価及びあり方に関する報告書』で「行政目的のための事業そのものの存在意義が乏しく、市直営を辞めたうえで、指定管理に早急に移行し、民営化をはかるべき」と評価された。

 

糸魚川市は権現荘の指定管理者制度を2013年度中に導入する方針を示していたが、赤字経営が続いていることや施設の老朽化を理由に導入を見送った。

 

指定管理者制度の早期導入を求める議員の声を尻目に、市は権現荘の老朽化と慢性的な赤字経営の打開策として同施設を改修し、リニューアルオープンする意向を示した。

 

p64

議会では指定管理者制度にスムーズに移行するためにさまざまな経営努力をし、黒字転換することを条件にリニューアル事業を承認した。

 

改修は2014年と2015年の2カ年に渡って行われた。約4億円もの巨費を投じ、権現荘は2015年8月にリニューアルオープンした。

指定管理者制度についても、当初はリニューアルオープンに合わせて移行する方向で議会側との合意を得ていたが、行政側は一転して「リニューアル後2年間は直営での営業を継続して黒字回復した上、有利な状況で指定管理者制度へ移行する」と方針転換した。

 

方針転換に反発する議員に対し、糸魚川市は権現荘の平成27年度の経営見込みを「2,000万円の黒字にする」と断言していたが、年度末になって約2,700万円もの赤字となることが判明した。

 

赤字経営の理由と責任

 

糸魚川市は3月4日の総務常任委員会で2,752万円の赤字の内訳を、権現荘リニューアル事業の椅子や机などの備品購入費574万円が国の補助対象から外されたこと、権現荘管理運営事業の2,178万円は権現荘が管理責任のある能生事務所に対し、月例報告や日割り計算などの細かな報告を行わず、半期決算の報告のみであったなど、ずさんな管理体制が明らかになった。…続きは本誌に

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