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2024年12月3日

『飛蚊症』

2016年05月27日

p25ishiあらき眼科

荒木 豊 院長

■医師データ

荒木豊。富山医科薬科大学医学部(現富山大学医学部)卒。新潟大学医学部付属病院、山形県立中央病院、新潟市民病院、燕労災病院、長岡赤十字病院勤務を経て刈羽郡総合病院(現柏崎総合医療センター)眼科医長、柏崎中央病院眼科兼務。平成27年5月、あらき眼科開業。

 

 

 

 

 

視界の中に白い糸や黒い点のようなものが映って見える飛蚊症。多くの人が一度は経験したことのある症状だが、放っておくと重大な病気が隠れていることも。今回は飛蚊症を取り上げる。解説はあらき眼科の荒木豊院長にお願いした。

 

「目の前に糸くずや虫のようなものが飛んでいるように見えることがあります。瞬きをしても目をこすっても消えず、目を動かすと同じ方向についてきて、ちょうど蚊が飛んでいるように見えることから、このような症状を飛蚊症と呼んでいます。とくに白い壁を見た時や、空を見上げたりすると、よく見えることがあります。飛蚊症とはどのようなものか解説します。

 

眼球の中は、硝子体というゼリー状の物質で満たされています。本来、この硝子体は無色透明ですが、加齢により硝子体は眼球の中で縮んでいき、縮むと同時に濁りも出てきます。その濁りが視野の中に映って見えるようになります。これが飛蚊症です。飛蚊症は目の濁りが原因ですので、目を動かすと一緒についてくるように見えるわけです。また加齢だけではなく、若い人でも近視の強い人は硝子体が縮みやすく、飛蚊症が出やすくなります。飛蚊症のほとんどの場合は、生理的変化によるものですので心配はなく、時間がたつにつれて症状は軽くなっていきます。

 

では、飛蚊症は放っておいても大丈夫なのでしょうか?

 

実は、飛蚊症には重大な病気が隠れていることがあります。とくに、急激に飛蚊症が増える、視野が欠ける、物がゆがんで見えるなどの症状が出たら、危険なサインといえます。飛蚊症をきたす重大な疾患には、網膜剥離、硝子体出血、ぶどう膜炎などがあります。中でも網膜剥離は、網膜という目の神経に穴が開いて、網膜がはがれてしまう病気です。網膜に穴が開いた状態を網膜裂孔と言い、それが進行して網膜がはがれてしまった状態を網膜剥離と言います。網膜剥離は放っておくと失明に至りますので、緊急に治療をしなくてはなりません。…続きは本誌にて

 

 

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