談合騒動後の上越市ガス水道局入札
2016年04月27日
数年前、上越市ガス水道局の発注工事をめぐり談合事件が発覚した。だが一部係争中ながら、公正取引委員会が入ることはなかった。その反動なのか、同局の発注工事では、「安値強要」とも言える事態が横行している。
偶然ではなく必然
とにかく入札の実態を見ていただきたい。これらは意図的にピックアップしたものではない。新潟県が運用する入札関連のポータルサイト、「新潟県入札情報サービス」を使ってチェックしたものだ。
まずこのシステムで平成27年度に行われた上越市ガス水道局の入札結果を表示する。そして同年度に行われた入札結果で、落札決定金額が1千万円を超えるものを、開札日の新しいものから2件示した。
前者は今年2月25日開札の中圧ガス管布設工事(大潟区雁子浜地内)、後者は2月3日開札のガス水道管入替工事(大字向橋~大字中田原地内)だ。どちらも発注側が参加する業者を指名するタイプではない、制限付き一般競争入札だ。紙に額を書いて箱に入れるのではなく、インターネットを通じて実施する電子入札の結果だ。
落札業者を問題にしているわけではない。やや見にくいが、2つの入札結果とも、応札者が入れた金額を見ていただきたい。前者では応札した9者中7者が同じ2千585万8千円のフダを入れている。
後者では応札した13者中10者が同じ6千373万円のフダを入れている。前者の2千585万8千円、
後者の6千373万円は、どちらも入札ごとに設定されている最低制限価格と同一額だ。最低制限価格とは、「この額を下回ると、まともな工事ができるか疑わしい」とされる。最低制限価格を下回って入ったフダは失格となる同額のフダが並んでいて入札が成立している場合、抽選で落札者が決められたことを意味する。
新潟市の入札情報では、同額で抽選の場合、〈くじ〉と表示される。県の入札情報サービスの場合、〈くじ〉の表示はされない。念のため、システムの運用担当に聞いてみると、同額のフダが並んでいて入札が成立している場合、やはり「抽選で落札者が決められている」、ということだ。
上越市ガス水道局の入札で、たまたまピックアップした2件の入札では、いずれも下限のフダが並び、抽選によって落札者が決められていた。これは偶然なのだろうか? 平成27年度の入札結果を見ると、出てくる、出てくる。最低制限価格での抽選が圧倒的に多いくらい。これはもう偶然ではなく必然だ。
73%が下限で抽選
上越市ガス水道局によれば、平成27年度では183件の入札のうち、実に134件で契約の下限である最低制限価格のフダが複数入り、抽選によって落札者が決められた
という。実に発生率は約73%だ。これは異常事態なのではないか?
ガス水道局ではこう言う。…続きは本誌にて