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2024年11月24日

悪役降臨 寝首を掻かれた佐藤幸雄市議

2016年03月28日

舞台には表もあれば裏もある。市議会も同様で、本会議や委員会などは表舞台であり、これらとは違った裏舞台もある。芝居には悪役が付きもので、市議会にも悪役に仕立てられがちの人物がいる。佐藤幸雄市議こそその人だ

 

必殺兵器の兼業禁止

 

p50

地方自治法に、議員の兼業禁止を定めた条文がある(92条2)。生の条文は厄介なので割愛するとして、かつて問題視されたのが、地方議員が建設業の役員をしていて、その建設業者と自治体との間で請負工事契約の受発注があるようなケースだ。

 

常識を明文化したものが法律だ。要するに李下に冠をたださずで、「疑われるようなことはするな」ということだ。前出のような、ケースでは、議員が自身の会社の役員を外れたり、代表者が議員からその妻や身内に交代したりする。

 

実際に大阪府池田市であったケースで次のような例がある。議員が個人営業で酒店を経営していた。池田市では家庭から出るごみを減量化するため、指定ごみ袋を有料化した。議員が営む酒店でも、この有料ごみ袋を販売した。

 

それが兼業禁止に引っかかってしまった。議員の酒店は池田市と業務委託契約を結んでいたのだが、これが「請負」と解釈された。ただ単に契約が解除されるだけならまだいい。議員の場合はここから先が恐ろしい。

 

議員が在職中に兼業禁止に該当してしまうと、議会で出席議員の3分の2以上の多数で決定した場合は、失職することとされている。実際、池田市で市の指定ごみ袋を販売していた議員は、議会の議決で失職させられてしまった。この自治法が定める議員の兼業禁止だが、使いようによっては「議員を陥れるための道具」にもなりかねない。

 

前置きが長くなってしまった。新潟市でも、この兼業禁止で青ざめた議員がいる。西区選出の佐藤幸雄市議(保守市民クラブ)だ。同市議は現在8期目で、最多選の市議だ。だが副議長は経験したが議長経験がない。このあたりが同市議らしいところでもある。

 

猪突猛進の危うさ

 

佐藤幸雄市議の両親は共に福島県南相馬市の生まれだ。昨年3月、新潟市内で東日本大震災や、原発事故のため避難生活を送る人々を支援するためのNPOが設立された。特定非営利法人スマイルサポート新潟という。

 

このNPOの定款を見ると、設立当初、佐藤幸雄市議が副理事長に就任していたことが分かる。NPOの役員名簿や決算書類などは公開されている。書類に日付はないが、このNPO法人の最新版役員名簿には同市議の名が見えない。

 

NPOスマイルサポート新潟に対し、平成27年度、新潟市は避難者支援関連の予算付けを行った。このNPOと市との委託契約に関し、前述した大阪府池田市の例の如く、「地方自治法が定める議員の兼業禁止に該当する」といった指摘があったようだ。

 

佐藤幸雄市議の名がNPOの役員から消えているのは、こうした指摘と何らかの関係があるかもしれない。あるいは自治法で定める議員の兼業禁止があることから、市とNPOが委託契約を交わす前に、同市議が辞任したのかもしれない。

 

議会筋がことの背景を解説する。…続きは本誌にて

 

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