─ バス運転手の浮気夫に妻が下した決断 ─
2016年02月26日
非番の日にもかかわらず外泊
今年1月に乗員・乗客計十数名もの尊い命が失われた軽井沢スキーバス転落事故はなんとも痛ましいニュースでした。しかも亡くなられた方々の多くが前途ある若者だったと聞いて、私も子を持つ親の一人として余計に胸が締め付けられる思いです。
行き過ぎた規制緩和によって旅行会社やバス運行会社の競争が激化。これを背景とする利用者の安全確保を二の次にした利益至上主義が引き起こした大惨事といわれていますが、事業者のコンプライアンス(社会的規範・法令の遵守)の姿勢が改めて問われています。
ところでスキーバス転落事故のニュースに接した私は、数年前に手掛けたある調査案件を思い出しました。以下、県内でバスを運行する某バス会社を舞台とする事件ファイルを紐解くことにしましょう。
今回の調査依頼者は北崎雪江さん(仮名・43)。お住まいは県内某所とだけ申し上げておきます。ご主人の信行さん(同・46)は県内某バス会社の大型観光バスの運転手をされているとのことです。
雪江さんが話の口火を切ります。
「最近、主人の様子がおかしいのです。私や子供たちには以前と変わらず優しく接してくれていますが、半年ほど前から家を空ける頻度が非常に多くなりました。観光バスのドライバーですから遠方に行った際には現地に泊まることになりますが、不審に思った私がたまたま主人が携帯していた勤務シフト表を見ると、本当は非番なのに”仕事だ”といって家を空けていた日が何日もあったのです。どう考えても浮気をしているとしか思えません」 (雪江さん)
仮に勤務シフト表の内容に変更がなかったとして、雪江さんがおっしゃるとおり本当は仕事が休みであるにもかかわらず、それを偽って頻繁に家を空けていたのであればご心配はもっともな話です。常識的に考えると、浮気が強く疑われる案件といえるかもしれません。
とはいえ信行さんの浮気が事実だとしても、雪江さんは相手の女性が誰なのか皆目見当がつかないといいます。
「主人のスマホのメールを確認しようとしたこともありますが、ロックがかかっていて暗証番号を入力しないと内容が見れません。私としてはロックをかけていること自体が怪しく感じられるのですが…」(同)
個人情報保護の観点から最近はやましいことがなくてもスマホや携帯電話にロックをかける人もいるとは思いますが、雪江さんはもはや疑心暗鬼に陥っているように見受けられます。しかも信行さんが自宅を留守にしていることが多いため、雪江さんはこの問題を抱えながら思春期のお子様2人の面倒を事実上お一人で見ています。雪江さんはストレスからくる不眠・食欲減退で体調がすぐれないとのお話ですから、ご本人のために早期にシロかクロかハッキリさせて差し上げたいものです。
一方、雪江さんから正式な調査依頼を受けた当事務所はすぐさま調査に着手。ご本人がバスの運転業務を終えて以降の足取りを追いかけることにしました。
このため私たち調査員は雪江さんにご協力いただき、信行さんの勤務シフトを事前に把握。信行さんが車庫にバスを入れた後の行動を徹底的にマークすることになりました。…続きは本誌にて