『五十肩(四十肩)』
2016年01月27日
■医師データ
山形大学医学部卒。山形大学医学部付属病院整形外科入局。北里大学、酒田病院、三友堂病院、燕労災病院、山形大学付属病院などを経て平成20年に開業。
うでが肩より上がらない、痛みで夜中に目が覚めるなどといった症状に悩まされる五十肩(四十肩)。悪化すると肩の関節が固まってしまうことも。今回は、五十肩(四十肩)を取り上げる。解説は、はすいけ整形外科の蓮池尚文院長にお願いした。
「五十肩(四十肩)は40代から50代くらいによくおこる肩の痛みです。はじめは重だるいような痛みが続き、進行すると夜間痛などを引き起こします。実はこの五十肩(四十肩)、正式な医学用語ではなくて俗称です。
では、なんという病名かというと、医学的には肩関節周囲炎と呼んでいます。肩の関節周りで炎症が起こり、それが痛みにつながるというわけです。この肩関節周囲炎というのも実はざっくりした言い方で、特定の部位で炎症が起こっていることが確認されると、その部位の炎症に細分化されていきます。例えば、腱板の炎症なら腱板炎、滑液胞の炎症なら滑液包炎という具合です。
原因は、物理的な刺激や負荷のかかる作業の積み重ねなどが考えられますが、ほかにホルモンバランスの影響なども指摘されています。
診断は問診や触診、肩関節の動きを確かめるなどといった診察に、レントゲンやCT、MRIなどの画像診断を組み合わせて総合的に判断します。
治療ですが、初期段階では消炎鎮痛剤の内服に加え、塗り薬や貼り薬などで様子をみることが多いです。また、漢方薬が効果的なケースもあります。
これらの治療の組み合わせで治癒する人も多いですが、なかなか治らない場合には、肩関節の中に注射でヒアルロン酸を注入する治療が広く行われています。ヒアルロン酸は関節の中にある潤滑油のようなものですが、これが減ってくると関節の動きが悪くなり、周囲に炎症を引き起こします。そこで、このヒアルロン酸を補い、関節の動きを良くしようという治療です。また、注射をさすことや薬剤を注入する際の物理的な刺激は、関節に癒着した筋肉をはがしてスペースをつくるといったような2次的な効果も期待できます。
肩関節周囲炎でも、先述のように炎症を起こしている部位が特定されている場合は、…続きは本誌にて