新発田市新庁舎建設設計積算ミス その額1.8億円!
2016年01月27日
新発田市の新庁舎は今秋にも完成を迎える。その設計に関し、「1千トン必要な鉄骨が240トンも不足していた」などという杜撰な設計積算ミスがあった。そのため建築本体工事の代金、1億8千万円余が増額された。この違算について、市も議会も、そして監査委までも「口頭の謝罪だけで、おかまいなし」とした。これをなれ合いと言わずして、なんと言おう。
9割がたは請求棄却
〈本件請求を棄却する〉。裁判の判決みたいな決定が示されたのは昨年12月21日のことだった。新発田市の新庁舎建設に関連し、昨年10 月に住民監査請求が行われた。請求人は三村誉一氏。その請求に対し、同市の監査委員会が下した判断が棄却だった。
三村氏だが、ある時は「無投票阻止」や「財政再建」を、またある時は「TPPは危険」といった主張を掲げ、各種の選挙に立候補を続けてきた。その孤軍奮闘ぶりは新発田の市民が広く知るところだ。
請求の内容は後回しにするとして、一般に住民監査請求はほとんどが「棄却」(請求の要件を満たしているが、請求に理由がない場合)、ないし「却下」(請求の要件を欠いている場合)になる。
総務省の資料によれば、平成19年4月1日から同21年3月31日まで、全国で1千798件の住民監査請求が行われた(都道府県が338件、市区町村が1千460件)。このうち却下、棄却となったものは1千656件(却下が733件、棄却が923件)で、実に全体の92%だった。
住民監査請求が行われ、実際に監査委員による勧告が行われたのは91件で、全体の5%ほどでしかなかった。「行政の信頼性が高い」という一面もあろう。だが「おかみにたてついても結果は見えている」といった印象は否めない。
住民監査請求の結果に不服の場合、住民訴訟を提起するしかない。監査請求の結論が出た直後、請求者の三村氏は「訴訟提起」を示唆していた。選挙と同様、監査請求でも三村氏は孤軍奮闘だ。
新発田市の場合、市議会では共産党までもが与党化している。「おかみにたてつく側」は、孤立無援に陥りがちだ。
昭和のまちにアートな庁舎
新発田市の新庁舎は中心市街地のど真ん中で建設が進められている(写真)。平成26年8月に起工式が行われ、完成は今年11月の予定だ。地上7階、地下1階の免震構造(中間壁頭免震)で、設計を担当したのが「aat + ヨコミゾマコト建築設計事務所」(東京都新宿区)。ヨコミゾマコト(横溝真)氏は東京芸大の建築科で教授を務めている。
建築コンセプトの一つが〈中心市街地活性化の核となる市庁舎〉。1階部分にはイベント時に一体利用が可能な〈札の辻広場(半屋内施設)と札の辻ラウンジ〉が配置されている。〈札の辻〉とは、かつてこの地に新発田藩の高札場があったことに由来する。今秋には昭和の雰囲気が濃厚な新発田のまちなかに、アートな異空間がお目見えするはずだ。新しい庁舎での業務開始は平成29年1月とされている。
その本体工事費だが、基本計画の段階(平成23年12月)では40 億4千万円と想定されていた。それが建設物価高騰のあおりを受け、一昨年8月の起工式段階で約60億円とされた。工事費が1・5倍近くに脹れ上がったのだが、新発田に限った話ではく、全国各地でこうした事例が続出した。…続きは本誌にて