金沢の後塵を拝す新潟 挽回のチャンスを探る
2016年01月27日
北陸新幹線開業により、金沢市の活況が全国の注目を浴びている。それを横目に、新潟市の経済人からはため息が漏れ聞こえる。曰く、「新潟市は金沢市の後塵を拝したまま沈んでいくのではないか」。
金沢市に嫉妬と羨望を抱いているだけでは、まさにその通りになるかもしれない。市の現状から、課題を見つめ直すことが重要だ。識者に分析を求めた。
駅のシンボルが観光ムードをつくる
●北陸新幹線金沢開業と時期を同じくするはずだったJR新潟駅高架化完成の遅れ( ʼ12年発表)
●北陸新幹線の速達型列車「かがやき」が県内を素通り( ʼ14年発表)
●新潟市による新バスシステム・BRT開業後の混乱( ʼ15年秋~現在)
この数年、新潟では交通インフラに関する暗い話題がめじろ押しだ。富山市のLRT(次世代型路面電車システム)が成功し、北陸新幹線開業後のJR金沢駅が賑わう中、それを悔しく思う県内経済人は少なくない。
参院議員・塚田一郎氏が話す。
「金沢駅には鼓門という大きな門があり、多くの観光客がその門を背に記念撮影をします。そこで”金沢旅行に来た”という意識が高まるわけですね。
今の新潟駅に降りた観光客が、どこで写真を撮るか。萬代橋まで行けば写真を撮るかもしれませんが。
新潟駅が今後連続立体交差事業(高架化)を進める中、駅のシンボルは何かということを考え、観光客にとって魅力ある駅舎にしていってほしいと思います」
金沢駅の鼓門は歴史的建造物ではない。ガラス製の「もてなしドーム」と共にʼ05年、完成した。北陸新幹線開業を見越した整備であり、その「もてなし」策は大いに功を奏している。
北陸新幹線金沢開業は構想から半世紀を経て昨年3月14日、実現した。駅整備に限らず、金沢市は開業に向けたまちづくりに長きにわたって取り組んできた。その取り組みを学ぼうと金沢視察に訪れた国会議員、地方議員、経済人の数は相当数に上る。
金沢視察経験がある新潟市議・吉田孝志氏が話す。
「新潟市にとっては城下町金沢の伝統や文化が、ないものねだりで羨ましくなります。しかし金沢市は伝統や文化の上にあぐらをかいているだけではありません。
私の視察当時の金沢での観光客数1位は兼六園、2位は21世紀美術館、3位はひがし茶屋街でした。金沢市の担当者の方に言われたのは、2位、3位は観光名所になってからまだ10年程度だということ。21世紀美術館の開館はʼ04年です。ひがし茶屋街は民間の方に協力をいただきながら改修し、観光地として磨き込んでいきました」
金沢に学ぶまちづくり
たびたび金沢視察に訪れているある議員が話す。
「金沢は歴史や文化もすごいですが、金沢駅からの二次交通も充実していますよね」…続きは本誌にて