壇宿六=新潟日報元幹部=「転落の軌跡」
2015年12月28日
新潟日報上越支社の坂本秀樹元報道部長(53)がツイッター上で新潟市の弁護士に対して再三にわたって誹謗中傷発言を繰り返していたことが発覚、無期限の懲戒休職処分となったニュースは県民に大きな衝撃を与えた。実際に発せられた差別・恫喝発言は新聞人とは到底思えないほど陰湿かつサディスティックな内容であり、新聞やテレビがすべてを報じきれなかったほど見る者や聞く者に強い嫌悪感を与えるほどのものだ。匿名性を隠れ蓑にした卑劣な誹謗中傷にも決して憤ることなく、ついにはその正体を突き止めた弁護士本人の証言を交えながら、元報道部長の「転落の軌跡」を追う。
「私はそれほど禿げていない」
元報道部長の坂本氏本人はツイッター上で、人種差別主義者(レイシスト)に対抗する市民団体「レイシストをしばき隊(略称=しばき隊)」ないし、その後継団体「対レイシスト行動集団(略称=C.R.A.C.)」に同調するツイートを繰り返していたとされる。
こうした思想的な背景について新聞やテレビはいっさい言及していないが、本誌としても「しばき隊」の関係者があたかも日常的に同氏と同じような言動におよんでいるかのような問題の捉え方は、あまりにも短絡的ではないかと考える。
仮に坂本氏が差別主義者を糾弾する市民団体のメンバーだったとして、その当の本人が自らも同様の言動におよんでいたとなれば確かに本末転倒な話だが、とはいえ個人の思想的な問題を云々する以前に、坂本氏が「社会の木鐸」を標榜する新聞社の幹部であったという点にこそ検証のメスが入れられるべきではないか。
一方、坂本氏による弁護士への誹謗中傷について論じる前に、読者にどうしても提示しておかなければならないキーワードがある。「はすみリスト」がそれだ。
「はすみリスト」とは、漫画家のはすみとしこ氏がネット上にアップした偽装難民風刺イラスト「そうだ、難民しよう」が物議を醸している最中、そのイラストについてフェイスブック上で「いいね」を押した人の名前や勤務先などの個人情報をリスト化したもので、勝手にネット上にアップされてしまった経緯がある。
リストを公開したのは後に「C.R.A.C.」のメンバーで、外資系ネットセキュリティー会社の男性社員だと判明。ネット上では職務権限を悪用した同社員の行為に対して強い非難の声が巻き起こった。
さて、坂本氏に罵詈雑言のかぎりを浴びせられたご本人こと、新潟市に事務所を構える高島章弁護士は騒動の発端についてどう考えているのか?
高島氏は以下のように話す。
「私がツイッター上で、はすみリストがネット上に公表されたことに対して批判的な発言をしたあたりから、坂本氏による私への誹謗中傷や差別発言が始まったように思います」
それ以降、坂本氏に対して「はよ、弁護士の仕事やめろ」「クソ馬鹿ハゲ野郎!」などと、およそ新聞社の幹部とは思えない発言を連発した。
これに対して高島氏は「私はそれほど禿げていません」などと冷静に“応戦”。
同氏がいう。
「私はネット上での議論においてある種の訓練を積み重ねてきましたが、頭に血が上っている人に対して冷静に反論すると、相手方はさらにヒートアップして墓穴を掘るものです」 (高島弁護士)…続きは本誌にて