尾身孝昭・県会議長就任記念品にザワつく選挙区
2015年12月28日
松島みどり元法相の「うちわ」、小渕優子元経産相のワイン、最近では高木毅復興相の香典と、政治家による寄付が「公選法違反」に問われるケースが目立っている。5月に県議会議長に就任した尾身孝昭県議(十日町市・中魚沼郡)が記念に製作したとされるボールペンが、選挙区で何かと取り沙汰されている。
うちわに続きボールペン
「これです」と、十日町市の会社役員がボールペンを示した。別にモンブランやパーカーといったブランドものではない。だが「百円均一」に並ぶ品物よりは高級感がある。素材はプラスチックではなく金属で、外側の地の色は赤。そこに白い文字で〈新潟県議会議長 尾身孝昭〉と書いてある。
このボールペンを示した人物は、尾身議長から直接もらった(寄付された)わけでない。仮に渡されたとなれば、かつて「うちわ」を配ったことがきっかけで辞任に追い込まれた女性大臣と同じことになりかねない。政治家が選挙区内の人に寄付を行うことを禁じた公職選挙法に違反することになるからだ。
女性大臣が選挙区内で配ったのは、夏祭りや花火大会で配られるような「うちわ」だった。それが「寄付」とされ、民主党の国会議員が刑事告発する事態に発展した。当時、「国会内の”うちわ”もめ」などと言われたが、同じ「うちわ」でも、厚紙の真ん中に穴をあけたようなタイプはおとがめなしだという。
「うちわ」の価値などは知れたものだが、事件の直後はネットオークションで1本1千5百円を超える値が付いたこともある。だが実際の製作費は1本当たり数十円だったようだ。これで大騒動になるのだから、どう見ても「うちわ」より高そうなボールペンを「尾身議長が選挙区で配った」となれば明確にアウトということになる。
最初にお断りするが、写真のボールペンを「尾身議長自身が、あるいは同議長の事務所関係者などが選挙区内の人に配った」、あるいは「本人及びその関係者などからもらった」という明確な事実は確認できていない。ただし完全にシロとは言い切れなないグレーな部分も残っている。
対価の範囲で問題なし
平成27年4月の県議選だが、十日町市・中魚沼郡選挙区(定数2)は無風だった。尾身孝昭、村松二郎と、共に自民の二人が無投票で当選を果たした。尾身は当選6回、村松は7回だ。
今さら言うまでもないが、定数53の県議会は自民が他会派を圧倒し続けている。議会の人事も自民の意向で決まる。議長については慣例で当選回数の上から順に、1年交代で務める。当選7回の村松県議は平成23年から1年間議長を務めた。
先の改選後、5月に開催された臨時議会で第93代の議長に就任したのが尾身孝昭県議だ。地方議会の議長は首長と同格の扱いだ。
知事公舎と同様に議長公舎もあれば、公用車も知事並み。報酬は一般の県議が月額77万1千円に対し、議長は96万1千円だ。
議員にとって議長就任は一世一代の晴れ舞台。今どきは委員長就任ですら「祝う会」を開く県議もいる。議会の頂点である議長就任ともなれば、たいてい盛大な祝賀会が開催される。…続きは本誌にて