倒産・廃業続々 三条市入札制度の時代錯誤
2015年11月27日
三条市では数年前から建設業者の倒産が顕著だ。その主な原因は低額受注を誘導する市発注工事の入札制度にある。ところが市側は「低価格の入札などない」と公式に断言し、制度を変えようとしない。かくなる上は、市内の業者は仕事が豊富な震災の被災地に集団移転するか、「入札制度を変えなければ、除雪に協力しない」と、戦うしかない。
15年間で過半数消滅
ある三条市の建設業者が言う。
「三条市の入札制度がこのままなら、来年あたりは東北に行かざるを得ないと思います。向こうは仕事がありますから。こんな仕事のないところにいつまでいてもしょうがない。三条市が発注する工事など、入札で落札したところで採算が取れないような状況なんです」
冗談交じりではなく、真顔での話だ。
「ここ数年、地元で中堅クラスの建設業者が5社くらい倒産しています。それなりの規模のところで、旧三条市で3社、旧下田村で1社、旧栄町で1社、そのほかに廃業しているところもあります。これまでそこそこ仕事をやってきた会社が次々と消えていっている。我々も財務内容が悪くなってきて、今まで蓄えたものをすべて出して商売を続けているような状況です」(前出、三条市の建設業者)
新潟県建設業協会は主に県が発注する工事の受注業者らで構成されている。その会員はそれなりの規模と実績の業者らだという。同協会には19の支部がある。三条支部には三条市、加茂市、見附市、田上町、そして旧中之島町(現長岡市)の業者が名を連ねる。
手元に平成12年版の『会員名簿』がある。当時、三条支部の正会員は29社だった。今の名簿(昨年5月9日現在)を見ると、同支部の会員数は平成12年と同数の29 社。
三条市(合併前の三条市、下田村、栄町)の会員に限って見ると、その中身は劇変している。数は平成12年の15社が現在13社に減っているといった程度(加茂市から三条市に本店を移した小柳建設はカウントせず)。
だがこのうち平成12年から現在まで名簿にその名がある会員は7社しかない。15年間で半数以上が消えたことになる。
隣の加茂市では平成12年の会員数が7社だった。このうち現在の名簿に名が見えないのは1社だけ。三条の建設業界が、いかに異様かが浮かび上がる。…続きは本誌にて