─ 懐刀の専務をクビにした社長に圧し掛かる弊害のリスク ─
2015年10月27日
社内不倫の専務をクビにしたはいいが…
前号では社内不倫に関する調査リポートをお送りいたしましたが、思いのほか反響が大きかったことから、今回も社内不倫に端を発する事件をお届けしたいと思います。
企業経営者が社内不倫を「たかが男女関係」などと侮るのは禁物です。男女関係の乱れは職場のモラル低下を招き、ひいては会社を存亡の危機に陥れてしまうことさえあります。
今回の調査依頼者は長岡市の会社社長、中谷敏弘さん(仮名・63)。中谷さんが経営する会社は従業員20名ほどの規模で、健康食品や各種サプリメントの卸売りを展開しているといいます。
当調査事務所を訪れた中谷さんは開口一番こうおっしゃいました。「半年ほど前に解雇した元専務について調べていただきたいのです。自分でクビにした男を調べてくれなどと言うと、おかしな話に聞こえるかもしれませんが…」
そう言って中谷さんは2枚の写真を私の前に差し出し、こう続けるのでした。
「こちらが元専務の広川孝三(同)です。年齢は61歳。そしてこちらが元社員の西脇芙美子(同)。年齢は48歳です。二人はうちの会社に勤めていた当時に不倫関係にありました。それぞれ奥さんと旦那さんがいる、いわゆるW不倫です。
二人が男女関係にあるのは社内では公然の秘密となっており、社長の私としては他の社員の手前、どうにかケジメをつけなければならないと常々思い続けていました。
そんな中、経理担当の西脇芙美子が会社のカネを横領している可能性が浮上したことから、私は彼女を厳しく追及。これに対して西脇はああだこうだ屁理屈をこねて横領の事実を認めませんでしたが、それからほどなくして本人は“無実の従業員を疑うような会社にはいられません!”と逆ギレして辞表を叩きつけてきたのです」
会社のカネに手をつけるような社員が辞表を提出してきたのですから、社長の中谷さんが慰留する理由などどこにもありません。結果、辞表は受理され、西脇芙美子は退社するに至りました。
ところが退社後も西脇と広川専務の不倫関係は続いていたようで、これを察知した中谷さんは改めて広川専務を問い詰めたといいます。
「私は広川にこう言ったのです。“広川君、キミは今も西脇芙美子と付き合っているそうじゃないか。横領が発覚して会社にいられなくなったような女と、現職専務がいまだに情を通じているようでは社員に示しがつかないじゃないか!”と。
私の解雇通告に対して広川は“分かりました。長い間お世話になりました”と深々と頭を下げました。しかしながら広川が仕事のデキる男だということは私が一番よく分かっています。だからこそ会社を追われた彼が今後どのような動きをしてくるのか注意深く監視していく必要があるのです」 (中谷さん)
中谷さんによると、私たちが普段何気なく手にする健康食品やサプリメントはそこに至るまで複雑な流通ルートをたどっているといいます。
具体的には中谷さんが経営する会社のようにメーカーと直に商品取引をする卸売業者を筆頭に、さらにその商品をドラッグストアなどに卸す二次卸売業者もあるそうで、時にはメーカーと直接取引しようとする二次卸売業者と中谷さんの会社が利権争いで火花を散らすこともあるとか。…続きは本誌にて