”反安保ビラ”誤配布で市議会対市教委”戦争”勃発
2015年10月27日
市教委に対する一通のメール、そしてツイッターへの投稿が発端になった。時に国会では、集団的自衛権の是非を巡る安保関連法案が審議されていた。9月9日、新潟市立桜が丘小学校5年生のあるクラスの担任が、「反安保法制」のビラを一部の児童に配布した。自宅でこのビラを見て不審に思った保護者が行動を起こしたのだった。
政治ビラを児童に配布
「教育の政治的中立」は、次の2法が根拠法とされている。
一つは、教育基本法第14条第2項。
〈法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。〉
いま一つは、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法第3条。
〈何人も、教育を利用し、特定の政党その他の政治的団体(以下「特定の政党等」という。)の政治的勢力の伸長又は減退に資する目的をもつて、学校教育法に規定する学校の職員を主たる構成員とする団体(その団体を主たる構成員とする団体を含む。)の組織又は活動を利用し、義務教育諸学校に勤務する教育職員に対し、これらの者が、義務教育諸学校の児童又は生徒に対して、特定の政党等を支持させ、又はこれに反対させる教育を行うことを教唆し、又はせん動してはならない。〉
これを犯すと、同法第4条で罰せられる。
〈前条の規定に違反したものは、1年以下の懲役または3万円以下の罰金に処する。〉
「職員を主たる構成員とする団体」が教職員組合のことを指しているのは明白。新潟市立桜が丘小学校で配布されたビラは、新潟市教職員組合が出元であり、分会員(組合員)に配布されるためのものだった。
どんなビラだったかは下の写真を見ていただきたい。「戦争をさせない1,000人委員会」という組織は、作家の大江健三郎さん、瀬戸内寂聴さん、鎌田慧さんなどの呼びかけで、今年3月に発足したという。安保関連法案と安倍政権の打倒を訴えた。全国に支部的な組織がつくられ、本県もこの4月に「戦争をさせない1,000人委員会にいがた」が発足していた。
文面を読み進めると、安保関連法案を「戦争法案」と糾弾。多くの憲法学者が法案を「違憲」だと主張し、「戦争法案を廃案に追い込むためには、安倍政権の支持率を落とすこと」と訴えている。
特定の政治主張が散りばめられたビラであることに疑いの余地はない。しかも、「一口200円のカンパ」をも求めている。子供が家に持ち帰り、「先生からもらった」と言われたら、反安保が持論の親とて不審に思うだろう。
「仮に学校で配布されたビラが安保賛成、法案を通すために自民党を盛り上げようという趣旨だったとしても、当然ダメです。教育の場で政治的主
張を子供に刷り込む行為は法律が許していないのですから」(保守系の若手新潟市議)
ビラが配られた日の夜、一人の保護者が市教委にメールをした。日を改めて、ある市議にビラ配布の情報提供がもたらされた。市議会文教経済
委員会で質した。最終的に関係者らに処分が下された。
これら一連の経緯は後述するとして、複数の市議が、この件に関する市教委の対応に怒りを鎮められないでいる。
いったい何があったというのか。
1週間のタイムラグ
…続きは本誌にて