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2024年11月22日

落札率10%台も 三条市委託業務入札の超低額誘導

2015年10月27日

今どきこんな入札が大手を振ってまかり通っているとは思わなかった。今年度に入り、建設コンサルタントの入札で落札率10%台が4件連続して発生している。それでも発注側はこうした入札制度を見直そうとしない。この分野で三条市は陸の孤島になっていて、その入札はガラパゴス方式とでも言うしかあるまい。

 

落札率13・5%も

 

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まず入札結果を見ていただきたい。三条市の発注で、今年6月15日に開札されたもの。紙に金額を書く方式ではなく、インターネットを使って実施する電子入札の結果だ。

 

工事の入札ではない。〈橋梁標準点検業委託〉とあるように、三条市が管理する道路の橋を点検する業者を選ぶ入札だった。各自治体では高い健全度を保つ必要がある重要な橋梁の標準的な点検を行い、損傷状況を可能な限り詳細に把握し、そのデータを記録している。

 

この業者選定は発注側が応札者を決めて行う指名競争入札ではない。一定の資格要件を満たせば誰でも参加できる制限付き一般競争入札だった。同じような内容の委託業務が6月に4件発注された。表1はこれらのうち1件の入札結果だ。

 

注目は何と言っても予定価格( 事後公表、開札後に示される方式)に対する落札率だ。この入札の落札率は13・5%と、驚きの数字。このほかの3件もほぼ同じ予定価格で、同じ顔ぶれによって入札が行われた。結果は4件すべて同じ業者の落札で、落札率はおよそ14%から17%だった。

 

ダンピングを防止するために設定されるのが調査基準価格や最低制限価格だ。どちらも「この価格を切るような金額では、まっとうな仕事ができそうにない」ということから設定される。前者では、この価格を下回って落札した場合、「本当にやれるのか」という調査が行われる。後者ではこの価格を下回った金額での入札は失格となる。

 

三条市が発注した橋梁標準点検の入札では、最低制限価格が設定されていた。だが応札が5業者未満だったため、入札の公告で示された規定に基づき最低制限価格は設定されなかった。こうした事情もあって超低落札率の入札が発生したらしい。

 

かつて物品納入などで発生した「1円入札」のごとく、前出の入札が三条市内で話題になることはなかった。応札したのがいずれも市外本店の業者だったからかもしれない(上から、燕、富山、新潟、金沢各市本店)。

 

三条市内の同業者は意外と冷静にこう言う。

「今回の橋梁点検は落札した業者が実績をつくりたかったんだ。だからあんな結果になった」(三条市内の建設コンサルタント業者)

 

隣の燕市でも似たような案件が8月に発注されている。跨線橋の橋梁定期点検で、13業者による指名競争入札の予定価格は211万円。落札金額は206万円で、落札率は97・6%だった。

 

ブラックが常態化

 

前出の入札はやや特殊な事例だったかもしれない。橋梁の標準点検は日常的に発注される業務ではないし、業者側に「実績づくり」といった意図もあったらしい。建設コンサルタントに分類される業務委託の入札で一般的なのが、設計や測量だ。このうち測量について三条市の入札をチェックしてみる。…続きは本誌にて

 

 

 

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