勝ち目のない裁判に血税投入 佐渡市社協トップ
2015年10月27日
本誌前号が報じた佐渡市社会福祉協議会(以下「佐渡市社協」)の呆れたコンプライアンス(法令遵守)違反は島内関係者はもとより、社会福祉事業に携わるさまざまな方面に激震を走らせた。度重なる労働基準法違反とその隠蔽工作、さらに隠蔽工作が失敗したと見るや上層部が「職員が勝手にやったことだ」として濡れ衣を着せて職員大量処分を断行するなど、その言動は文字どおり常軌を逸している。 当然ながらこの一件は佐渡市議会でも遡上にのぼり、社協トップらの責任追及を求める声が市民の間で強まっている。
除雪で10分遅れても処分
本誌前号が記事掲載したように、佐渡市社協はこれまで時間外手当の不払いなどの労働基準法違反を繰り返してきた上に、それを問題視した労基署の指導にことごとく従ってこなかった。
労基署の指導は以下のとおり4回にもおよんでいる。
◦平成19年11月の臨検。監督署職員が突然やってきて労務実態を調査。出勤簿による労働時間管理を改めるよう指導されてタイムカードが全支所に導入された。
◦平成21年6月の臨検。業務終了後のタイミングでタイムカードを押していたため、カード上に提示をはるかに過ぎた退庁時間が毎夜刻印されていながら、自主申告以外残業代はほとんど払われていなかった。3、4、5カ月の不払い残業代計約230万円を支払うよう勧告。
◦平成23年4月の臨検。職員が定時直後にタイムカードを打って、その後また業務を行うことが常態化していたため、タイムカードの終業時刻とパソコンのログオフ時刻に相当の乖離が発生していたことが判明、労基署の態度が強硬なものとなった。
◦平成23年12月の臨検。労基署がこれ以上違反を繰り返せば書類送検せざるを得ないと警告書を会長に手渡す。
このように悪質な隠蔽工作が発覚し書類送検されかねない事態に陥ったにもかかわらず、社協上層部は「時間外労働は職員が勝手にやっていたことだ」などと事実無根の主張をし始め、返す刀で何の罪もない職員80人を大量処分。職員に対する処分理由はいずれも些細なもので、中には事務所に入る前に除雪していただけにもかかわらず、タイムカードを押した時間が10分遅いとして処分された者さえいるという。
一方、上層部は労基署が書類送検も辞さないとの強硬な姿勢となったのは、もとはといえば内部告発におよんだ者がいるせいだとして当該職員を排除すべく本来懲戒に当たらない事案をあげつらって、けん責や減給などの処分を断行した。
これに対して、この職員は社協を相手取って処分取り消しを求めて労働審判の申し立てを行い、労働審判委員会の3人の委員全員が職員の言い分を認めたにもかかわらず、社協がこれを不服としたことから本裁判に移行。
しかし今年8月12日の判決言い渡しで裁判所は「処分はいずれも社会通念上相当性を欠き懲戒権の濫用であり無効」だとして、社協が敗訴。社協はこの判決を不服として控訴したのだった。
以上がこれまでの大まかな流れだ。
佐渡市は早急に徹底調査
裁判所の判決では、社協上層部によるコンプライアンス違反や横暴のかぎりが詳細に述べられている。…続きは本誌にて