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2024年11月23日

徹底検証「学力テスト」

2015年09月28日

その実施に賛否両論ある「全国学力・学習状況調査」。いわゆる「学力テスト」。小6と中3が受ける。わが子の学力が見て取れる保護者ウケは悪くないが、一部政治家、一部教師のウケは良くない。だが、学力テストの結果から見えることに無意味なことは何もない。今年度の学力テスト結果から、特に中学生で浮き彫りとなった課題を検証してみる。

p124

 

今春大学入試における本県の大学・短大等進学率(速報)が46・7%と発表された。昨年比0・2ポイント減。近年は45%付近をウロチョロしている。県の方針は「率の向上」から「質の向上」にシフトしているため問題はない。質を高めれば率も高まる。そのために必要な教育があるという。

 

偏差値上位層が少ない本県

 

中学校における学力テストの結果が、必ずしも大学進学率に結び付くわけではない。これは125ページの表からも明らかだ。

 

学力テスト上位の常連である秋田県には、全国の教育関係者が視察に訪れる。本県もそう。県義務教育課指導第一係の宮嶋博係長もその一人。

「秋田県の教育の秘密を探りに行ったのですが、教育においては当たり前のことを当たり前に、それを忠実に行っていました」

 

当たり前とは何か。同じく学力テストでは常に上位にいる福井県を視察した同・吉田亨指導主事が言う。

 

「宿題を出す。翌日、生徒が提出した宿題を教師がチェック。宿題から見えたその子の課題を記してその日のうちに返却する。時に励ましの言葉も添える。地道な取り組みですが、最も効果のあることを学力の高い県は取り組んでいたのです」

 

奇をてらったことはしていない。家庭学習習慣を確立させるために宿題を出し、課題を指摘して克服させ、学力を高める。

 

学力の低い県は、その当たり前のことをやれていない…と言うのは早計に過ぎる。そのことは127ページ以降に譲るとして、学力テスト上位の秋田県は、大学等進学率が決して高くはない。平成27年度の44・4%は全国36番目。本県より下位にある。本県より上位の福井県は55・3%で14番目。両県とも上位ではない。

 

簡単にこの結論を記す。両県とも地方都市。地元に大学は少なく、地元国立大のレベルも高くはない。ただし、秋田県には東北大、福井県には名古屋大、京都大、大阪大といった旧帝大が近県にある。

 

経済力と学力のある者は旧帝大をはじめとする難関大、少なくとも国公立大を視野に入れる。両県とも人口比における国公立大学合格者数は多い。旧帝大合格者数も多い。いずれも本県を優に上回る(本誌7月号参照)。本県が目指す「質」で勝負しているのが両県と言っていいだろう。

 

本県の大学等進学率が近年、40%台半ばでウロウロしていると前述した。ある高校教育関係者が言う。

「昭和の最後に進学率が20%。平成に入りこれが急激に伸び、平成21年度に49%を記録して頭打ちしました。急伸したのは、明らかに県内私立大への
進学者が増えたことが要因。県内私立大が増えた時期と合致しています。…続きは本誌にて

 

 

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