坂上富男弁護士が警鐘を鳴らす「公選法違反の闇」
2015年09月28日
4月の県議選に五泉・東蒲選挙区から立候補し落選、その後、公選法違反で逮捕・起訴された宮崎伸被告(32)らに新潟地裁は9月9日、有罪判決を言い渡した。本誌前号でも公判傍聴記をお届けしたが、その記事に関して本誌編集部は同被告の弁護人の一人である坂上富男弁護士から申し入れを受けた。内容は、同弁護士がかつて手掛けた公選法違反事件の弁護活動について法廷で申し述べたことに対して、裁判官が「弁論として述べることは適切でない」として理解を示さなかったことに対する反論だ。裁判官が大方不採用とした坂上弁護士の弁論は、公選法が解釈次第で被告を有罪にも不在にできうる法律であることに警鐘を鳴らしたものなのだが―。
「裁判長の指摘は間違いです」
8月27日、本誌9月号が店頭に並んだ直後、編集部宛てに三条市の坂上弁護士から以下のような文書が届いた。周知のとおり同弁護士は元衆院議員であり、政界引退後も弁護活動に尽力。88歳になった現在もバリバリの現役だ。
坂上弁護士は文書において本誌9月号の掲載記事について自らの主張や考え方を述べているが、記事に対する抗議文ではなく、裁判官によるあるべき訴訟指揮について本誌や読者に正しい理解をしてほしい、との趣旨と読み取れる。
文書の表題は〈県議選五泉東蒲原選挙区公選法違反で逮捕された公判傍聴記について〉。本文は以下のとおりだ。
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「次号の記事と思われる表記傍聴記」について次のような記事があります。
〈坂上弁護士の意見陳述だが、
「弁論要旨を見ると証拠に基づかない部分がある」と、その大半が裁判長から「弁論として述べることが適切でない」とされてしまった。〉と記事にありますが、この裁判長の指摘は間違いです。
裁判長の陳述禁止は私がかつて選挙違反を弁護した際の裁判結果を指摘して、本件事件でも公選法の解釈には留意しなければならない旨を述べるつもりでありましたが、この指摘のように裁判長から指摘を受けたことは事実です。
しかし裁判所での裁判の結論が出た事件については「裁判上顕著な事実」として証拠の取扱いとなるのは裁判上明白であります。裁判長の指摘そのものが間違いであります。
よって現在三条地区の弁護士を中心にして裁判長の指摘は訴訟法上間違いである。弁護人が事実に反する弁論をいたした場合は、弁護士法に基づき処分を受けることになるのである。私としては裁判所の指摘は間違いであると確信し、その場で抗議しようかと思いましたが、被告人が不安に思ってもと思いまして裁判長の申入れを承認したところです。
しかしこのことは三条地区弁護士を中心にして弁論のあり方として議論して、裁判所の指摘は問題であると決議しました。この問題は弁論としては重要でありますので法曹三者で毎年協議会が行われますので、弁護人が自分の経験としてかかる裁判の判決を得たと主張することは出来るものであることを、協議会で協議をしてもらう予定です。
この点は弁護人の弁論にかかる重要な部分でありますので良くご理解を頂きたいと思います。それならば何故にその場で抗議しなかったのかと問われますと、裁判官とやりとりすることは被告人が不安に思ってはいけないと思って、その場は治めました。…続きは本誌にて