動き出した”ポスト泉田”
2015年08月27日
泉田裕彦知事は来年10月24日に任期満了を迎える。現在3期目で、仮に4選を果たせば、これまで当選回数でトップだった民選5代目の君健男知事に並ぶ。そして4期目をまっとうすれば、歴代最長の県政となる。今のところ同知事の4選を阻む積極的な要素は見当たらない。11年前、中越地震の混乱のさなかスタートした泉田県政は、空前の長期政権となる可能性もある。
泉田知事の神話と伝説
ある自民党関係者が、「これは”神話”か”伝説”として受け取っていただきたい」と前置きして語った。その割にはごく最近の出来事で、泉田
裕彦知事を象徴するようなエピソードだ。
「この夏のことだ。自民党県連の役員一行が、財務大臣の麻生太郎副総理のところへ出向き、本県に対する財政的な支援をお願いした。陳情を終え、一行が大臣の部屋を出た際、最後に部屋から出ようとした県連の幹部に麻生副総理が声をかけた。最初に部屋を出た県連役員に聞こえないようにするため、最後に部屋を出た者に声をかけたんだ。そして麻生副総理が言ったそうだ。”知事を代えてから来い”と」
霞が関、永田町と泉田知事との関係を物語るような”神話”であり”伝説”だ。あるいは歯に衣着せぬ麻生太郎の個性を示す逸話かもしれない。
「のこのこ麻生副総理のところへ陳情に出向く県連幹部らの政治的センスも問題だろう。あれは県内で著名な経済人の息子の結婚式でのことだった。披露宴に招かれた麻生太郎と泉田知事が同じテーブルに並んだんだ。後で麻生太郎が言ったそうだ。〝何であんなのと同じテーブルで並ばなきゃいけないんだ〟と。そんな麻生のところへ行けば何を言われるか分かりそうなものだ」(前出の自民党関係者)
最近では原発の再稼働をめぐり、数年前は北陸新幹線の建設費の負担について、泉田知事と国側は対立を深めた。別の自民党関係者も言う。
「間に入ってくれた人があって、資源エネルギー庁のトップクラスに会う機会があった。当初こちらが”新潟”ということだったためか、いやいや渋々という表情がありありだった。”泉田知事には我々も困っているんだ”という話を出したとたん話が前に進み出して、最後は〝よろしくお願いします〟ということになった」
霞が関にはこんな都市伝説めいた話があったという。「国の役所に書類が上がると、新潟の文字があるだけで、書類はいったん横に置かれてしまう」
“悪党知事”の面目躍如
歴史の用語で「悪党」という言葉がある。悪人ではなく、時の政権や寺社勢力に従わなかった武士などを指す。後にヒーローに祭り上げられた楠正
成なども悪党呼ばわりされたという。
物議をかもした北陸新幹線の建設負担金だが、3年前のことだ。泉田知事が新年度予算案に負担金を計上しない方針を示した。これに対する石川県知事の苦言が伝えられると、泉田知事は「石川の知事が口を出す話じゃない」と反発した。
新幹線の建設負担金は法で沿線自治体が事業費の3分の1を負担すると決まっていた。そのため石川県知事は泉田知事の対応を「法律違反」と指摘。泉田知事は反発し、「(石川県は)田んぼを宅地の値段で買い、その請求書を他県に回している。そちらを説明する方が先じゃないか。よく胸に手を当てて考えてほしい」と述べたという。
この負担金問題だが、けっきょくは…続きは本誌にて