県宅建協会 公益法人の看板は”オレオレ詐欺”か!?
2015年07月27日
公益社団法人の県宅建協会では、会員の一部が「有志の会」を立ち上げ、総会決議に反する不当な予算の執行に賛成した理事に、1億円余を返還させる訴訟が展開されようとしている。この訴訟で、一部に見られる「オレオレ詐欺」のような消費者を混乱せしめる偽りの看板もただし、公益法人のあるべき姿をも追及していただきたい。
念願の"士"格獲得
宅建(不動産)業を開業しようとする者は、営業保証金の供託が義務付けられている。額は主たる事務所(本店)が1千万円、従たる事務所(支店)が1カ所につき500万円。この保証金は国交相の指定を受けた保証協会に分担金を預けることで免除される。この分担金が本店で60万円、支店が30万円だ。
現在、指定を受けている保証協会は二つある。ハトマークの「全宅」(全国宅地建物取引業保証協会/全国宅地建物取引業協会)と、ウサギマークの「全日」(不動産保証協会/全日本不動産協会)だ。いずれも内閣総理大臣が認定する公益社団法人になっている。
「全宅」、「全日」と何やらプロレスみたいだが、業界の8割、約11万社はハトのマークに加盟している。県内でも宅建業者の看板にはハトマークが圧倒的に多い。公益社団法人県宅建協会(新潟県宅地建物取引業協会、小林代士未会長)は全宅連系のハトマークで、県内11支部、1千3百余の会員が加盟している。
ハトであろうがウサギであろうが、今年はこの業界にとって記念すべき年になった。昨年、宅建業法の一部が改正され、今年度から「宅建主任」(宅地建物取引主任者)が「宅建士」(宅地建物取引士)へ名称変更されることになった。
世間一般からは「な~んだ」と思われそうな話だが、この業界にとって"士業昇格"、武士の士が付く士業への仲間入りは長年の悲願だった。
弁護士や司法書士、公認会計士に税理士、あるいは一級建築士に中小企業診断士など、士業には「高度な専門的知識と公的な性格を兼ね備えている」といったイメージがある。たいてい士業は「先生」と呼ばれる。
ある県宅建協会の会員はこう言う。「昔のブローカー、”不動産屋”といったイメージから念願かない、ようやく脱却することができたんです」
宅建主任の資格試験は合格率が20%未満だ。この割合は介護の分野で言えば、介護支援専門員(ケアマネージャー)試験の合格率と同じくらい。士業昇格で宅建士の試験は難易度が増すとも言われている。
ガバナンスが最重要
士業昇格の背景として考えられるのが、これまた念願だった業界団体の公益法人化だ。平成25年7月、県宅建協会も晴れて公益社団法人への登記を完了させた。同協会は県内の業界団体で唯一、県知事認定の公益社団法人となっている。
国が進めた公益法人改革は、既存の社団・財団法人に二つの選択肢を突き付けた。平成25年11月までに一般社団・財団法人になるか、より社会的な地位の高い公益社団・財団法人になるかだ。
県宅建協会も自ら手を挙げ、税制面で優遇される公益社団への道を選択した。だがそのハードルは高く、活動の50%以上は会員以外のためのサービス事業でなければならない。会員からの会費は、その半額以上を会員以外のために使うということだ。…続きは本誌にて