アオーレ長岡 ”経済貢献ゼロ説”でも…
2015年07月27日
長岡の中心市街地再開発が高く評価される所以は、「アオーレ長岡」の存在にある。アオーレができたことで、大手通商店街の地価は上がった。しかし周辺の景気が上向いたかと言われれば、そうでもない。地元商店街にとってアオーレ長岡の経済効果は、今のところ極めて限定的なのだという。
”上向いた”は1割程度
”駅前だけ見れば、新潟は長岡に負けているな”これは新潟市民からよく聞く声である。高架化された駅舎から伸びるペデストリアンデッキと、それが繋がる「アオーレ長岡」。
アオーレの存在を羨ましがる新潟市民は多い。
新潟市の場合、市役所庁舎が移転してから古町が衰退の一途を辿った。現在は空床対策の一環で市役所機能の一部が中心街に移植されているが、活性化には全く繋がらない。古町のランドマーク「NEXT21」内にも市役所機能が移植されているが風向きは変わらず、メーンテナント「ラフォーレ原宿」の撤退が決まった。
このように市役所機能が中心街にあるだけでは活性化に繋がらない。その点、アオーレはオープン3年目を迎えた今年4月に来場者400万人を記録。”人が集まる場所”となり得たことで再開発事業の成功例として挙げられる。今年10月の長岡市長選挙で5選目を狙う森民夫市長のこれまでの功績で、中越地震の復興事業と並んで評価が高いのが、アオーレ長岡を中心とする駅前再開発で見せた手腕である。
しかしアオーレができたことで長岡の中心街・大手通は、本当にかつての輝きを取り戻したのだろうか。確かに周辺の地価は上昇したのだが、商店街の景気はいかほど上向いたのか。
長岡市商店街連合会、長岡市飲食業組合連合会、長岡市中心市街地活性化協議会、長岡商工会議所が合同で行ったアンケート調査の結果がある。対象は中心市街地の小売・サービス業者461社(回収数43・4%)。アンケートが行われたのが平成24年5月。ちょうどアオーレがオープンして1カ月後である。
まず来客数の変化は平日で「増えた」「やや増えた」と答えた割合が16%、「変わらない」が69%、「減った」「やや減った」が15%。アオーレでイベントが開かれる土日祝日で見ても「増えた」「やや増えた」は19%に留まっている。
次に売り上げの変化だが、平日で「増えた」「やや増えた」は9%、「変わらない」が74%、「減った」「やや減った」が17 %。土日祝日で見ても「増えた」「やや増えた」が15%に留まっており、「減った」「やや減った」の18%を下回っている。
つまり商売の点だけで見ればマイナス傾向だとも言える。
データとしていささか古いのだが、逆にいえばアオーレ効果で一番人が集まっていた時期である(同月の来場者は約25万人、オープン初年度で約154万人)。
「今も状況はさほど変わっていませんよ。ウチで言えば、イベントの行われる土日でほんの微増、平日は横ばいといったところです。市役所庁舎が駅前に移ってきたところで、商売にはさほどプラスにはなっていない。市役所に来た人は、市役所にしか用事がないでしょうから。そこからの人の流れはあまり期待できないですね」(中心街の小売業者)
今回の取材でも同様の意見は多く、現在も中心商店街で景気がよくなった話はほとんど聞かない。
大手通には、ますます空き店舗や青空コインパーキングが増加し、街の魅力を損ねている現状もある。
こうした状況を見ると…続きは本誌にて