新発田市新庁舎 常識外れの設計積算ミス
2015年06月29日
5月25日、新発田市の二階堂馨市長は「新庁舎建築工事の契約金額を約1億8千800万増額し、44億9千500万円とした」と、議会に報告した。増額となった理由は設計での積算ミスで、「1千トン必要な鉄骨が240トンも不足していた」などという極めて杜撰なもの。これほど非常識な理由の契約変更が許されるのか。
前代未聞の変更理由
建築設計会社の社長は、怒気を含んだ声で、繰り返し「あり得ない」と憤まんやるかたない口調で言った。自民党の県議会議員は、ただ「論外」とだけ言った。地元の会社社長は、「取り澄ました役所だけの理屈で、民間では通用しない話だ」と追いうちをけかた。世間では「常識外」と思われるような内容が報告されたのは5月25日、新発田市議会でのことだった。
この日、4月の統一地方選で改選された新発田市議会(定数27)は、新しい議長、副議長を選出した。議長には改選前に引き続き最大会派所属の小川徹議員が就任。副議長には二番手会派の比企広正議員が就任した。
市議会の新体制が決まった日、二階堂馨市長は議会に専決処分の報告を行った。本来は議会の議決、承認が必要な事がらでも、議会での手続きを経ることなく、市長自ら処理できることが法律で認められている。それが専決処分で、もちろん何でもかんでも可能なわけではない。
専決処分として報告されたのは2件の契約変更で、いずれも現在進行中の建築工事に関連するものだった。一つは中心市街地のド真ん中に建設が進んでいる新庁舎、もう一つがJR新発田駅前の複合施設関連だ。いずれも契約金額を増額するもので、前者は前年度内の3月26日に、後者は今年度の5月8日に専決された。
新庁舎の場合、昨年7月に決まった契約金額(43億704万円)に約1億8千800万円を増額し、約44億9千500万円に変更するとされた。契約の相手方はスーパーゼネコンの大成建設と、地元の新発田建設、伊藤組で構成する共同企業体だ。大成建設は創業者で、旧大倉財閥の祖である大倉喜八郎が新発田出身と、当地とは因縁浅からぬ関係にある。
駅前複合施設は昨年9月の契約金額(26億4千600万円)が2千921万円ほど増額され、約26億7千500万円になった。
後者の駅前複合施設では、契約を変更する理由として〈渡り廊下を増設する〉、〈建設発生土を埋め戻し土に再利用する変更を行う〉といった内容が示されている。
だが前者の新庁舎では〈変更の理由〉が、〈鉄骨・鉄筋の数量変更に伴う増工〉とされただけ。鉄骨236・4トン、鉄筋98・4トンを”増工”するというが、駅前複合施設のように〈渡り廊下増設〉といった内容は示されていない。
鉄骨・鉄筋を大量に増やし、建物の耐震性をさらに強化しようという目的なのか? そうではない。今回の契約変更は、およそ常識では考えられないような事態に起因するものだった。…続きは本誌にて