佐渡世界遺産登録 ネックは泉田知事か?
2015年05月27日
平成29年度の世界遺産登録を目指す佐渡の金銀山。現在、同年度の国内推薦候補は4件に絞られ、この7月には推薦枠が決まる。有力視される佐渡だが、最後に物を言うのは”政治力”という面も否定できない。新潟の政治家が小粒な点、泉田裕彦知事と中央政界の確執などが足を引っ張らなければよいのだが・・・。
世界遺産登録で佐渡は潤うか?
“世界遺産に登録されれば佐渡観光は180度変わる”地元の関係者はこう口を揃える。
「佐渡の観光入り込みは、ピーク時の半分に落ち込んでいます。団体旅行の減少など社会情勢や、地元のインフラ不足など観光需要の減少には様々な要因があり、今後上がり目があるかといえば難しい話です。ただ、もし世界遺産登録になれば、そうしたマイナス要因を全て飛び越えて、佐渡観光は息を吹き返すでしょう」(団体関係者)
“世界遺産登録は、次世代に残すべき地域資源の保存と活用を促す”高邁な理念としては違いないが、本音を言えば”観光客が増えてウハウハになる”から地域が躍起になる、それは否定できないだろう。
世界遺産登録で地域経済は活性化する、これは本当なのだろうか。実は因果関係は薄いと言われている。
国内の世界遺産の中で、登録されたことによって明確に観光客が増えたといわれるのは石見銀山と白川郷の2カ所だけだという。1993年に登録された屋久島などは観光需要が増えたように思われがちだが、世界遺産登録の前から観光客は微増傾向にあって、明確な因果関係は見られない。そして現在は再び減少傾向にあるという。
明確に観光需要が高まった2カ所は、世界遺産登録で話題になる前は全然観光地ではなかった場所。ほぼゼロスタートだから、観光人口が急増しても無理はないのである。
佐渡はもともと知名度のある観光地。世界遺産登録で劇的に観光客が増えるということは期待できないのではないか。
このあたりは意見の分かれるところかもしれないが、少なくとも”知られる”という点で意味はある。これまでの観光需要は海、山、トキという自然の財産に依るところが大きかった佐渡で、文化遺産がクローズアップされることは新規開拓にも結びつくのではないか。名前が売れることは地元の産品の売れ行きにも繋がるだろう。
世界遺産登録が地域活性化に繋がるとすれば、それは直接的な経済効果よりも”地域住民の誇り”の創設なのではないか。佐渡では年間約1,000人の人口流出がある。深刻な数字だ。世界遺産に登録され、地域のブランド力が高まることで、人口流出に幾分ブレーキがかかれば、その意味は小さくない。…続きは本誌にて