急降下する政令・新潟市の格付けランキング
2015年01月27日
〈市長職は連続12年でけじめ〉とした自身のマニフェストに反し、4選出馬へ方向転換した新潟市の篠田昭市長。昨年の市長選は辛勝で逃げ切ったものの、やはりと言うべきか致し方なしと言うべきか、4期目の格落ち感は否めない。ブッチギリの大勝でもしていたのならともかく、選挙の後遺症が同時多発的に進行しているように思える。
4期目篠田市政の死に体シンドローム
全国には20の政令市があり、20人の市長がいる。その中で昨年4選を果たした篠田昭新潟市長は極めて特異な存在だという。別に薄氷を踏むような選挙結果だったからというわけではない。政令市には政令市なりのトップ像があるらしく、やはり「本州日本海側唯一の政令市」は良くも悪くも違っているようだ。
ある自治体関係者が言う。「全国の政令市で、4期目の市長は新潟市の篠田市長だけです。ほかがもっと多選なのではなく、ほとんどの市長が1期目、ないし2期目です」
それは知らなかった。総務省では政令市で実施された市長選の結果をまとめて公表している。その一覧によれば、昨年3月に大阪、そして11月に新潟、熊本、福岡と、昨年は4つの政令市で市長選が行われた。
大阪で再選を果たしたのが言わずと知れた橋下徹市長で、熊本では大西一史市長が県議から転身して初当選を果たした。福岡は地元放送局のアナウンサーだった高島宗一郎市長が再選された。昨年改選された政令市の市長の中で、4選を果たした篠田市長は異彩を放っている。「20の政令市で3期目は、今年6月に任期満了を迎える札幌市の上田文雄市長だけでしょう」 (同)
この上田市長と篠田市長は共に昭和23年の生まれだ。3期目の上田市長は12年前に初当選した。その市長選は7人が立候補するという乱戦だった。
そうした事情もあって、上田市長はトップの票を獲得したものの、法定得票に達せず公選法に基づき再選挙が行われた。首長選の再選挙はこれまで札幌を含む4例だけしかないという。昨年の新潟市長選で、もちろん篠田市長は法定得票をクリアした。だが得票の少なさという点で、上田市長の第1回目選挙と共通点がある。
その上田札幌市長だが、4月に予定される市長選には出馬しないという。昨年、「北海道知事選に出馬する」という話が一時伝えられた。それはともかく、上田市長の4選不出馬で20の政令市中で篠田新潟市長のダントツ最多選が確定することになる。
前出の自治体関係者はこう言う。
「多選が必ずしも悪いとは申しません。ただ一般の自治体に比べ政令市は密度が濃いと申しますか、短期集中型で、より強力なリーダーシップが求められると思うんです。それゆえ2期か、せいぜい3期という期間限定で突っ走るパワーが求められると思います。だから政令市で多選の首長は少ないのではないでしょうか」
篠田市長が圧勝で4選を果たしていればまだよかった。同市長の得票は10万を割り込み、得票率は36%ほど。投票率は約40%で、同市長に投票したのは全有権者の15%弱という状況だった。
選挙に勝ったものの、篠田市長はいわば「死に体シンドローム」とでもいうべき危険な病に陥ってしまったのではないか。…続きは本誌にて