期待だけはやたらと高い「新幹線・空港乗り入れ」への展望
2015年01月27日
四半世紀も議論だけが続いている上越新幹線の新潟空港乗り入れ問題。実現の是非や賛否はともかく、実現すれば乗り換えがなくなる意味において利便性は格段に高まる。昨秋には、県を中心に「新潟空港アクセス改善研究会」を発足させた。似たような組織が次々に立ち上げられるのは期待の高い証拠。今年こそ発展形が見られるか!?
多くは乗り入れ賛成
本誌ではこれまで、新幹線の空港乗り入れ問題を様々な角度から取材し、記事を掲載してきた。
議論のスタートから四半世紀が経過。この間、有識者らは座布団を敷いて丁々発止の議論を続けた。しかし、ついぞレールが敷かれることはなかった。
「首都圏空港へのアクセスが今後、さらに便利になることが予想される以上、今さら不要」(国立大学教授)
こうした不要論は現にある。しかしながら大多数は、「新潟の発展につながる」という期待を込めて「乗り入れすべし」というものであった。乗り入れを決断できる立場にあり、結果的には決断でき(し)なかった平山征夫前知事でさえもそうだ。
本県選出の国会議員は、新潟の拠点性を高める意味でも、新幹線の空港乗り入れはすべきだと訴える。
「日本海側の拠点づくりを新潟はやらなきゃいけない。そのためにやるべき課題は、東港の開発、空港乗り入れ、空港の拡張などいくつもある。これから手を付けても数十年はかかる。10年後、20年後の絵を描いて、今年こそスタートするべきだ」
同じことを新年の賀詞交換会などの場で、政財界人を前にして訴えたという。 県は昨年、陸・海・空の交通ネットワーク強化による拠点性向上などを盛り込んだ「新潟港将来構想」を策定した。30年後の目指すべき姿が描かれている。ずいぶん気の遠くなるような構想だ。
「この構想には、新幹線の空港乗り入れも描かれています。四半世紀前にあった議論が、今から30年先にならないと実現しないのか。そう思うと愕然とします」(新潟市内の会社社長)
議論好きの新潟県人だが、チャンスを自ら逸してきた可能性も拭えない。先の国会議員が言う。
「そもそもは、新幹線を新潟まで持ってくるときに、空港まで引っ張るという絵図面を描けば良かった。それができなかった。その後にもレールを敷くチャンスはあった。国鉄を民営化するときだ。 民営化する際、国鉄が抱えていた債務のうち、およそ25兆円を国が税金で付け替えた。“借金をチャラにするから、空港まで伸ばしてくれ”と言うべき人が言っていれば…。無論、言っていれば実現していたとは断言できませんが」
上越新幹線の開業は1982年。民営化は87年。絶大なる権力を誇った田中角栄元首相は、このとき既に、脳梗塞で病床に伏せていた。「言うべき人」など新潟県にはいなかったかもしれない。…続きは本誌にて