特集 県内開発プロジェクト総点検
2014年12月26日
大型開発の舞台裏は利権と利権のぶつかり合いだ。これを調整しつつ実現の方向に導くのが開発業者であり、行政トップの役割だ。市街地の再開発や宅地開発、病院や文化ホールの建設事業など、県内には多種多様なプロジェクトが計画され、事業が展開されている。あるいは花と散ってしまったものもある。これらの中身を少しだけ覗いてみると、意外な実態が浮上する。
村上総合病院移転と駅周辺まちづくりプランの卵が先か、ニワトリが先か
「各地でミニ集会をやっていますが、どこの会場でも話題になるのが、村上病院(の移転新築)はいつになるんだという話です」(市議会12月定例会、姫路敏市議の発言)
厚生連村上総合病院の移転先が駅西地区に決定され、5月で2年になる。村上市の大滝平正市長は「そんな話は聞いたことがない」としているが、次のような指摘もあった。「当初、佐渡総合病院の前に(村上の)建設計画がありました。平成23年に佐渡総合病院が新築されましたので、次は村上総合病院の新築に向かうものと思われましたが、小千谷総合病院に先を越されました」(12月定例会、鈴木イセ子市議)
小千谷は先に起工式を迎えたばかりで、平成28年の開院を目指す。厚生連では10月末に末武理事長が村上市に出向き、村上総合病院の移転計画について、「もうしばらく時間をいただきたい」と説明した。大滝市長は議会で、「移転計画の公表は3月下旬頃になるのでは」と答弁している。
12月の市議会では村上総合病院の移転計画に関する質問が相次いだ。その内容は悲観的な観測に基づくものが目立った。高騰する建設物価、政府による農協改革、逼迫する病院経営など、厚生連を取り巻く環境は厳しく、村上総合病院の移転新築計画が遅れることが懸念されるというものだ。
現病院はJR村上駅近くにある。移転後の跡地の活用を含む「駅周辺まちづくりプラン」の基本構想が審議され、11月に承認された。病院跡地は子ども・子育て支援施設などに、駅は橋上化され、その東西を結ぶ連絡通路も計画されるなど、”豪華版”となっている。
構想は病院の移転が進まなければ絵に描いた餅だ。それで市長は共産党の市議に噛み付かれたりした。「市長は病院が建とうが建つまいが、駅周辺の大型事業をするのが当初の目的なのではないですか」(相馬エイ市議)
駅周辺の開発が先か、病院の移転が先かみたいな話だ。病院が移転する予定の駅西では宅地開発が進んでいる。移転用地は厚生連で確保するものとされている。
「移転用地の半分は(宅地の開発・分譲を進める)企業体の土地だと思います。移転予定地の面積から逆算すると年間の固定資産税は700万円ほどだと思う。とすればいつまでも(厚生連による土地買収を)待っていないのではと思います。
来年、再来年とめどが立て立てば固定資産税も納めながら待つでしょうが、(病院の移転が)いつになるか分からないのに、企業体が土地を売ってしまったら移転計画がパーになる」(姫路市議)
病院移転について、村上市が支出する補助金は上限が20億円と決まっている。
今さら土地を市で確保することもままならい。村上市の悩みはまだしばらく続きそうだ。
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