ワイド総選挙 ”自公圧勝”という嘘八百 ②
2014年12月26日
6区色気なしの”塩試合”になった理由
安倍晋三首相の全国遊説第一声はここ新潟6区。さぞや盛り上がったのだろうと思いきや、地元有権者は冷めたもの。事前の予想通り票差が開いたからなのか?いや、理由はそこではない(敬称略)。
6区は自民現職・高鳥修一が、民主新人・梅谷守を寄せ付けず完勝。
新人の梅谷は、義父の元職・筒井信隆の後を引き継いでの出馬だったが、最後まで影すら踏めなかった。とはいえ、「前回の筒井さんが取った票とほぼ互角だから、よく(票を)出したほう」(上越市の民主党支持者)の声もあるにはある。
国政初挑戦の梅谷は苦労したことだろう。これまでの県議の選挙ではせいぜい1万2000票も取ればよかったから、8万票を取りにいく選挙は初めて。しかも地元の上越市以外では無名。さらに、2012年に行われた上越市議選で、民主党系の現職が軒並み落選し、党の自力そのものがかなり削がれていたことも苦しくした要因である。
「でも、市議選で民主党がみんな落っこちたのは、当時県議の梅谷にも責任がある話。自分の選挙だけやればいいってものではないからね」 (同)
一方で、順風満帆に見えた高鳥も、前回の票から1万5000票程度も削られている。投票率が低かった影響は当然あるが、実績と知名度のない新人相手に得票率でも3ポイント以上落としているのは求心力の低下といえまいか。
国政でも厚生労働政務官や党の厚生部長を務め福祉のスペシャリストとして地位を固めようという立場。安倍首相がいの一番に応援に来たことで、関係の近さをアピールできたにもかかわらず、
「演説を聞いても、高鳥さんは福祉のことばっかりだから。いや福祉のスペシャリストが悪いと言っているわけではないが、総理と距離が近いのだからもっと景気のいい話もしてもらいたい」(上越市の建設業界関係者)
6区の最大票田である上越市は、昨年まで北陸新幹線関連、帝石のLNG基地、中部電力の火力発電所など大型民間事業が重なって、プチバブルの様相だった。その恩恵が今年で終わりなのだという。来年以降はまた冬の時期到来となるため、地元業界では不安感と閉塞感が強い。こういうタイミングで大型の公共事業でもあれば・・・・・
懸案となっている公共インフラ整備の案件は、目の前にないわけではない。例えば都市計画道路に指定されている「黒井│藤野新田線」。昨年ついに期成団体が発足したものの遅々として進んでいない。国の直轄事業で言えば、上信越自動車道の4車線化は民主党政権で一時暗礁に乗り上げたが、昨年4月にようやく事業再開にこぎつけた。その一方で、総予算500億円以上と目される保倉川放水路の整備は、用地買収で難関を迎えている。これらを少しでも前進させる政治力が望まれるところ。
「福祉の話もいいが、それは全国共通の話。少しは地元に景気のいい話も演説のハシに入れてくれればいいのに」 (同)
地元の不安感といえば、北陸新幹線の開通により”上越が素通りされるのではないか”という、いわゆる2014年問題。御存知の通り、新潟県内の2駅(上越妙高、糸魚川)に停車する本数は1日10本に限定される淋しい結果となった。
これについても、
「地元の高鳥さんが、国土交通省やJRに掛け合って交渉して欲しい。停車本数を少しでも増やしてもらえないか。これでは地域の経済はしぼむばかり」 (上越市の経営者)
そんな声を知ってか知らずか、安倍首相が登場した直江津駅前の演説で高鳥は、「新幹線が停まる本数が増えるのも、全ては市民の皆様の利用率にかかっています」と芸がない。
いやいや、そこは代議士に期待しちゃいかんのか?リップサービスでも”新幹線が停まる本数を増やすべく、鋭意、働きかけてまいります”くらい言って欲しいところだ。
ちゃんと”気持ちいいところを触ってくれる”政治家が、最終的にモテるのではないか。もう少し”床上手”になった方がいいかも。
もっと”セクシー”な選挙が見たかった・・・・・
派閥力学に見る”新潟で出世するのはこの人” …続きは本誌にて