『肝機能障害』
2014年12月26日
上原 一浩 氏
■医師データ
富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒。新潟市民病院、立川総合病院、新潟大学医学部第三内科、新潟臨港病院を経て平成22年に開業。専門分野は消化器病、消化器内視鏡、肝臓病。医学博士。
健康診断で肝機能障害を指摘されたことがある人は少なくないはず。その大半はそれほど心配の必要がないものだが、中には恐ろしい病気が隠れているケースも。そこで今回は、肝機能障害の色々なケースを取り上げる。解説は上原消化器内科クリニックの上原一浩院長にお願いした。
「健康診断などの血液検査で肝臓の数値に異常がある=『肝機能障害』と言われた事のある方は少なくないと思います。
この肝機能障害の原因の多くは、肥満による脂肪肝や過剰飲酒によるアルコール性肝障害です。この場合、極度の肥満や極度のアルコール過剰摂取、アルコール依存症がない限り問題ないことが多く、治療もダイエットや、お酒を控えるということになります。
その他の肝機能障害の原因にはウイルス性肝炎(B型肝炎、C型肝炎など)、自己免疫性肝疾患、薬剤性肝障害、胆石、がん(肝臓がん、胆道がん、すい臓がんなど)などに加え、中には肝臓の病気ではなく甲状腺、筋肉、心臓などに原因があることも。
このように多くの原因があるのですが、中でも必ず調べる必要がある消化器疾患には、がん(肝臓がん、胆道がん、すい臓がんなど)や、B型肝炎、C型肝炎の有無があります。
がんは言うまでもありませんが、B型肝炎、C型肝炎も肝硬変や肝臓がんの主な原因となります。B型肝炎による肝臓がんのリスクが220倍、C型肝炎では340倍と言われており、これは喫煙による肺がんのリスク4.5倍、咽頭がんのリスク33倍と比べてもはるかに高いリスクです。B型肝炎、C型肝炎は日本ではおよそ100人に1人が感染していると推定されており決して稀な病気ではありません。…続きは本誌にて