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2024年11月23日

『肘部管症候群』

2014年11月28日

isyaおぐま整形外科クリニック院長

小熊 雄二郎 氏

 

■医師データ
小熊雄二郎。平成14年近畿大学医学部卒。同年、新潟大学整形外科に入局。聖隷浜松病院、新潟労災病院などを経て平成26年10月、おぐま整形外科クリニックを開院。

 

 

“手作業”という言葉があるように、何かの作業をするうえで最も頻繁に使うのが手だ。その手が不自由になったら…。そんな危険をはらんでいる病気のひとつが肘部管症候群。今回はこの病気の原因や治療法などについて取り上げる。解説は、おぐま整形外科クリニックの小熊雄二郎院長にお願いした。「肘部管症候群とは、ひじの中に通っている神経が圧迫されたり、引っ張られたりすることにより生じる神経の障害です。

 

症状ですが、初期には小指と薬指の一部にしびれを感じるようになります。進行すると手の筋肉が痩せていき、最終的には小指と薬指がカギ状に変形してしまい、動かしづらくなります。小指と薬指は、何かを握る際に一番必要となる指ですから、これらが動かしづらくなると、『握る』という動作が困難になります。さらに怖いのは、ここまで病気が進行してしまうと治療で元に戻すことが極めて難しくなるということです。

 

この病気の原因をお話しします。ひじの中にはトンネルがあり、その中を神経が通っています。そのトンネルの一部が何らかの原因により狭くなって、中の神経を圧迫することにより、様々な症状を引き起こすのです。トンネルが狭くなる原因ですが、骨の変形や子供の頃のひじの骨折、ひじを曲げた際に狭くなる、などが挙げられています。

 

治療ですが、安静・投薬など保存療法で効果がなければ手術が選択されます。どのような手術なのか簡単にお話ししますと、神経を圧迫しているトンネルを切開して神経を開放した上で、その神経を前方に移動させ、ひじを曲げた時に引っ張られないように余裕を持たせるようにします。これにより、ひじがどのような状況でも神経が圧迫されることが無くなり、術後改善に向かうか、または病状の進行を止めることができます。手術時間は1時間半程度で翌日から指を動かせるようになり、1週間程度で日常生活、3週間程度で重労働も可能になります。

 

この病気は、安静・投薬といった保存療法をしていれば自然治癒すると言い切れるものではなく、悪化する可能性もあります。放っておくと最初に申し上げたとおり、最終的には握るという動作が困難になってしまうおそれがあります。ですから初期の段階でしっかり治しておくことが肝心です。…続きは本誌にて

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