公立化を市に要望した新潟産業大学の窮乏
2014年11月27日
定員割れなどにより財政悪化が懸念されている柏崎市の新潟産業大学(北原保雄学長)が、現在の私学から柏崎市が運営者となる「公立大学法人」への移行を目指す方針を明らかにした。経営悪化にうろたえる現経営陣が、その尻拭いを市に押しつけるのだとしたら、市にとっては単に”不良債権”が増えることになりかねないのだが…
記者発表前日のドタバタ
北原保雄学長らが、記者発表前日の11月7日に柏崎市の会田洋市長を訪ね、法人設置に伴う設置者移転の要望書を提出。5年連続で定員割れとなった学生の確保につなげ、経営基盤を強化するのが狙いだという。ここ数年、同大学の存続を危ぶむ声は地元でも広がっていた。一部では”もって2年”などいう声もあったという。
そうしたなか、同大学で行われた会見で、北原学長は、「記者発表の前日に、市長に要望書を提出するなど、ドタバタした印象を与えたことをお詫びします。しかし、今回の発表はそれほど緊急かつ重大な内容を含んでいることをご理解ください」と神妙な口調で言って、深々と頭を下げた。
事態が実に唐突であり、学校内部でも完全な意見統一が出来ていない印象は拭えない。事情に詳しいスジによれば、「公立大学法人化を急ぐ大学側が市に対し根回しを行なう前に情報が漏れた。それで急遽『要望書提出のセレモニー』を行なったらしい」北原学長の話すとおりのドタバタである。
この日の記者会見の案内状は前日7日、地元マスコミ各社に配布された。案内状には「記者会見のご案内─新潟産業大学の将来構想に関する重要な発表─」とタイトルがつけられ、「このことについて、記者会見を開き、お話したいと存じますので、ご参集いただきたくご案内申し上げます」とのみ書かれていた。「重要な発表」とは何なのか。同大学事務局に問い合わせると”詳細は明日”と煙に巻かれたが、重ねて尋ねると”本学が公立大学法人を目指すという公式発表をさせていただくことになっております”とあっさり。
10月31日に同大学で理事会が開かれ、この件について広川俊男理事長から緊急動議があったこともその後の取材で明らかになった。その席には、同大学の理事をつとめる会田市長の姿はなかったという。自治体に助けを請う方向性の決議で、理事である首長が不在のときに話し合われるというのは、極めて不自然ではある。
民設民営だが出資元は100%自治体
「新潟産業大学の公立大学法人化について(要望)」と題した要望書はおよそ次のような内容。…続きは本誌にて