農家が総スカン!篠田市長の「農業特区構想」
2014年10月29日
今年3月末に新潟市が国家戦略農業特区に選定されたが、それによってどのような変化や発展がもたらされるのか想像すらできない市民が大多数に違いない。「生産から加工・販売までを手掛ける6次産業化を推進」などと言われてもピンと来ない。一方で農業関係者の間では農業特区構想に対する「反対」の大合唱が沸き起こっている。
エセ農家レストランに誰が行く?
新潟市のさる農業関係者がいう。
「特区選定の最大の目的は地域限定の規制緩和です。新潟市が農業特区になったことによりどのような規制緩和が行われるかというと、大きく分けて2つあります。ひとつは農用地を含めた農家レストランを自由に開設できるように規制を緩和する。もうひとつは農家レストランの運営母体となる農業生産法人の役員要件を緩和して設立しやすくするというものです。
農家レストランは新潟にすでにたくさんありますが、今までは農地にレストランをつくるとなると農地転用にあたって規制があり、なかなか面倒でした。こうした規制を緩和するのが農業特区プロジェクトの最大の柱といえます」
(農業生産法人役員)
新潟市がイメージしている農家レストランは、文字どおり農地転用によって新たに建てられたピカピカのレストランだ。しかしこの農業関係者は「それは本当の農家レストランではない」と前置きして続ける。
「通常の農家レストランは農家の一部を開放して客を招き入れるスタイルが一般的です。これなら農地転用の必要がありませんし、改装費も知れたものですから農家にとっても負担が少ないのです。
県内には行政が文化財に指定している昔ながらの貴重な農家がありますが、こうした純農村にある趣のある農家の茶の間を活用したレストランだからこそ人々は行ってみたくなるのです。
したがって、そもそも農地転用して建てた新築のレストランは本当の意味での農家レストランではありません。農地のど真ん中にファミリーレストランと見紛うような近代的なレストランが忽然とお目見えしたところで、都会の人たちは誰も喜んで足を運びません。これだと農家が単にファミレス事業に新規参入したにすぎないではありませんか」
では本物の農家レストランの醍醐味とはいかなるものなのか―。…続きは本誌にて