東京証券取引所に喧嘩を売った 雪国まいたけ創業家
2014年08月26日
何故に大平は金融庁および東京証券取引所の意向を蔑ろにしてまで、経営権奪還の挙に出たのか。誰の眼から見ても、自らの首を絞めることになるのは明白なのにである。常軌を逸した営為の真の狙いは何処にあったのか。強すぎたリーダーシップの拠り所である巨大な株主権の希薄化を阻止したいがための乾坤一擲の勝負に出たというのが真相のようである。(文中敬称略)
追い詰められた末の「自爆」
昨年11月の社長交代劇で、大平は収入を断たれた。忸怩たる思いで年を越した。眉を苛々したように顰めて、笑うことを忘れた。業績悪化による無配続きでは、一族100%所有の持ち株会社、大平商事も意味をなさない。
本社ビルの近くには大平邸が控えている。場違いな豪邸だけに冬期間の暖房費は数十万円はかかる。生活する部屋にストーブを持ち込み、カップ麺を啜る大平の姿を想像できるだろうか。大平の追い詰められた窮乏ぶりを物語って余りあるエピソードではないか。
雪国まいたけの借金は280億円だが、大平個人と持ち株会社、大平商事の借り入れは40億円近くと噂される。第四銀行からの融資が圧倒的で、メインたる所以だ。
今年に入り異変が起きた。金融関係者が口を開く。
「今年になってから大平は利息も払えない状態に陥っているようです。ですから金利も通常金利から10%以上の延滞金利に跳ね上がった筈です」
チョット待て、40億の10%以上となると4億を超える計算になる。これでは二部上場企業の創業家にして大株主といえど、ニッチもサッチもゆくまい。
素朴な疑問が生じる。回収の見込みがないような大平個人に、何故これ程までに貸し込んでいったのか。就なかんずく中、金融取引を取り仕切る第四銀行の融資動向に注目せざるを得ない。
第四銀行と言えば、いわずと知れた新潟県のトップバンクだが、雪国まいたけへの融資総額は、あまたある融資先の中で五本の指に数えられている。これには現頭取の並木富士夫が平成7年から3年間、経営企画部長として同社に出向していたことと無縁ではあるまい。
実は株主総会で大平が乱心とも思える暴発をした理由は単純明快なのだ。…続きは本誌にて