雪国まいたけ荒れに荒れた株主総会の一部始終
2014年07月28日
6月27日の株主総会が大荒れになる予兆はあった。星名執行部と創業家の大平前社長との連絡が途絶えていたからだ。混乱を予感した執行部は、総会前日のリハーサルで入念な準備をしたが、圧倒的持ち株数がもたらす横暴の前に抵抗はあえなく崩れ去った。(文中敬称略)
追い込まれていた大平前社長
総会は異様な雰囲気に包まれていた。会場に姿を見せた大平の歩き方は、否応言わせないような殺気に満ちていた。大平の眼に烈しいものが点っていたのは傍目にも分かった。しかも、5名の弁護士を引き連れている。社長に就任し7ヵ月の星名光男の中に、悪い予感が現実になる畏れが膨らんで行った。この1週間、大平と連絡が不通になっていたことも不安を増幅させていた。
星名はジャスコ(現イオン)の専務取締役まで上り詰めた男である。早稲田大学教育学部を卒業後、岡田屋(現イオン)に入社した生え抜きだ。昨年6月に、取締役として雪国まいたけに請われて来たものの、面食らったことは一再ではなかった。人材と呼べる人が驚くほど少ない。取締役はいるにはいたが、名ばかりで決定権はほとんど大平に握られていた。創業オーナーとはいえ、権限の濫用が極端に過ぎた。朝令暮改の多さも目に余った。役員間の結束もバラバラで、会社の体を成していないのではないかとも思った。
会社の不法投棄や社長の女性スキャンダルがマスコミを賑わしたことにも驚いた。若い女性とのスキャンダルは、長年連れ添った愛人がフライデーに指したのではないか、と地元六日町ではまことしやかに囁かれていたことにも面食らった。大平は、当時既に社内掌握力を失い、裸の王様になっていた。この現実は星名を唖然とさせた。
そこへ、13億円を超える不正会計処理問題が出しゅったい来したのである。悪いことは重なり、元取締役による株主代表訴訟が提起された。下請け業者との泥沼裁判も続行中である。最近は、元取締役クラス2名が大平個人を提訴するとの情報もある。
四面楚歌にして八方塞がりに追い込まれた大平が、一発逆転の大勝負に打って出る素地は熟成していたのだ。
株主総会の一部始終
6月27日の午前10時に始まった総会は冒頭から荒れた。会場の入り口には臭いを嗅ぎつけたBSNのTVカメラが陣取っていた。無論、会場内には入れない。
定石通り星名社長が議長席に就こうとすると、「動議、動議」と木こ霊だまするような大音声が場内に響きわたった。「議長交代」と勝ち誇ったような声が続いた。この瞬間、星名は大平の依怙地なまでの横暴さに改めて驚いた。…続きは本誌にて